ネトゲでルサンチマンが爆発する理由

ネトゲ、特にMMORPGでは、妬み嫉み羨望が激しいと昔から言われている。
まぁ実際自分もそういう場面を幾つも目にしてきたし、実際のプレイヤー達からすれば、概ねその通りだと言えるのではないかと思う。
いわゆる「晒しスレ」等の例をあげるまでもなく。


じゃ、何でネトゲはそんなに感情が爆発するの?


原因の一つは「距離が近すぎる」からだと思うんです。


勝ち組と負け組の距離感。
先行組と後追い組の距離感。
持つ者と持たざる者の距離感。
自分より多くを持つ人に対して、多かれ少なかれ嫉妬や羨望を抱くのは普通の事だと思う。
問題はそれをどれだけ「意識させられる」環境かどうか。

もし世界が100人の村だったら

という有名な道徳・人道を説く話があります。

80人は標準以下の居住環境に住み
70人は文字が読めません
50人は栄養失調に苦しみ
1人が瀕死の状態にあり

これって絶対、まず間違いなく、暴動が起きると思うんですよね。
持たざる人が持つ人に対して。
嫉妬と羨望と、ルサンチマンが爆発して。


何で実際の世界の多くでそんな事になってないかと言えば、物理的距離・心的距離がすごいあるから。
物理的に実行に移せない、そもそも意識する事が少ない。
しかしこれに近い状況において、そうして暴動が発生した例は数え切れない程ある。


幸運な事に当然現実にはこんな村は存在しない。
だけどネトゲでは極当たり前に、「世界が一万人の村」や「世界が数千人の村」が存在する。それ以下の村も。
世界で最も持つ人と、世界で最も持たない人が同時に存在する。


この状況で自分と周囲との差を全く意識しないで居るのは、多分かなり難しい。

競争=ゲーム、だけならまだ良かった

ネトゲの多くは競争原理主義とも言っていい。
それは正しくゲームなんだから、と言えば確かにそうです。


競争の勝ち負けにおいて嫉妬羨望の感情が生まれるのはまぁ必然と言ってもいい。
ここまでは現実にもよくある話。


対比して、何故ネトゲでそうした感情が強く出るかと言えば、結局、
「距離が近すぎた=世界が狭すぎた」から。


あるスポーツをやっていたとして、
世界で一番上手い人から一番下手な人まで勢揃いなチーム。
そんなのカオスすぎます。
しかしネトゲではそれが普通。
嫉妬も羨望も優越感も全てそこに集約する。

サーバー運営上の技術的な限界

こうした小さな世界に縮小されていくのは時代の要請とも言える。
かつて一つのサーバーに、一万あるいはそれ以上の人口を詰め込んだ手法は過去の物となった。
一万人を越えるサーバーなど今は殆ど存在しない。プレイヤーがより快適な環境を求めた故に。


より多くの複数のサーバーに分散させる事を、プレイヤー達が望み、そして運営はその要望に(積極的か消極的かはさて置き)従った。


こうして一つの世界(サーバー)は更に小さくなっていく。
意識してしまう他人は更に近くなっていく。
ルサンチマンが爆発してしまう僕たち。