あの時アフリカには自由よりも経済が必要だった

2010-02-07
以前からそこそこチェックはしていても基本的にはスルーでした。けど折角の日記強化月間なので。ネタが無いからともいう。


アフリカ諸国の後進性の原因について。

これらの本を読んでのちきりんの解決案仮説は「この際もう一度、アフリカ大陸を西欧の植民地にしたほうがいいんじゃないの?」ってこと。香港・マカオみたいに「100年租借」で西欧諸国の植民地にして100年後に返す、っていうのが一番いい方法なんじゃないかな。西欧諸国にもメリットが必要なので、資源の出る国と出ない国をセットにしてね。

2010-02-07

まぁ怒る人も居るんだろうけど、基本的に言っていることは「植民地化自体は、間違っていたとは言い切れない」ということ。特に日本の植民地支配はアメリカとかでは(あくまで他所のそれと較べれば)成功例の一種である、と言われる。*1
アフリカ諸国がこんな状況なのに、同じように植民地支配されたアジアやアメリカでは「そうではない」所も存在する。植民地支配で残されたインフラや教育を自らの発展に活かし、成功した国々。対して失敗した人々。成功した国が賢かったのか?失敗した国が馬鹿だったのか?あるいはその支配者の政策が良かったのか?悪かったのか?
勿論この事実が植民地支配された人々を慰めるわけでもないし、当然それが道徳的に正当化されるわけでもない。


こうした植民地支配からの脱却後の過程は、かつての古代からの文明・国家の生存レースとあまり違いはない。失敗した所は衰退し、逆に成功した所は発展する。まぁ昔は概ね衰退=滅亡だったから、現在のように失敗例が延命治療で生き残ることはなかったんだけど。
結局の所今振り返って見れば、彼らに本当に必要だったのは「植民地支配からの自由」よりも「自分で生きていく為の経済」だったわけだ。しかし、独立する時、あの時の彼らや反帝国な人々は大抵「自由」を求めた。経済よりも自由さえあればどうにかなる。革命こそ必要だと。
本当は自由なんかよりも自力で生きる糧の方が重要だったのに。
そして更に救えないのは、その自由を求められた側の帝国達は、植民地を失っても大して痛手は無かったということ。むしろ(それ以前から言われていたように)植民地なんて基本的に儲からなかったし、むしろ足手まといだった。まさにその通りに植民地の解放によって本当に利益を得たのは解放した帝国の側だった。


その意味で最近まで中国がやっていた事は確かに正しいのかもしれない。自国民の自由よりも、経済発展を優先する。それで確かに彼らは成長発展した。自由なんか糞食らえと言わんばかりに。労働環境よりも自然環境よりも人権状況よりも経済だと。
かと言って、(中国のような極端なともかくとしても)現在のアフリカでエリートによる開発独裁のような事ができるかと言えば、難しい。だって人権が大事な人に内からも外からも怒られちゃうから。そして引用先で言われているような「植民地支配をもう一度」も同様に難しい。だって人権が大事な人に内からも外からも怒られちゃうから。
これらに本質的には違いは無い。何らかの強制装置を以って無理矢理にでも成長させようという試み。人道的ではないと怒られるだろうけど。
多分(一番の自力発展の成功例である)日本にもう一度明治維新からやってみろと言っても失敗すると思う。人道的ではないと怒られて。



身も蓋も無い言い方をすれば、「何で彼らに経済よりも先に「自由」を教えてしまったんだ?」という結論あたり。



というわけで以上『「強国」論』(D・S・ランデス)の提供でお送りしました。

*1:他の植民地支配と比較した場合「日本>イギリス>フランスオランダ>スペインポルトガル」の成功順らしい。