二つの怠慢

普天間移設問題に端を発する問題が日米同盟自体への疑念へと拡大したのは、そもそも何故なのか、な話。


やがてloopy 総理懐かしむ日が? それでも日本抜きだと米国は成功できない WEDGE Infinity(ウェッジ)
中々の慧眼だと思います。文中に出てくる「その主は、聞けば「ああ、あの人」と皆さんが言うオバマ政権現役バリバリの高官」の言は特に。以下抜粋。

 「普天間の教訓というのはだから、あまりにもいきなり、日本の内政問題のど真ん中へ飛び込んで行き過ぎたということになる。われわれはそうするより先に、大きな戦略対話を実行しておくべきだった。米国サイドの世界の見方であるとか、日本にはどのような協力を求めているのかといった事柄について、民主党にしっかり理解しておいてもらうべきだった」。

 「だから普天間が解決したら――いつかは解決するからね――双方とも一歩退いて、大きな、長期的問題がお互い話し合えたらと思う」。 「この数カ月起きたことのおかげで、かつてなかったほどよく合点がいったのだけど、米国はアジアでも世界でも、要するに成功することができないわけです、強固な米日関係がないところではね。どれほどそうなのかということについて、大衆を巻き込んだ議論が必要だし、自覚することが求められているのだと思う」

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/874?page=4

まぁ結局そういう事なんでしょう。
もちろん、日本の民主党内部の無理解という要素はあるにしても、加えてそれまでの自民党アメリカの政権による怠慢でもあると。それら過去の自民党政権アメリカ自身は当然の事ながらお互いに「解って」いた。しかし一方は日米同盟の長期戦略を積極的に(票にならないから)学ぼうとする事はなかったし、もう一方は「自分達がわかっていればそれでいい」と国民を巻き込んだ議論にする事をおざなりにしてきた。加えてアメリカ自身もそれが常態である事に依存していたと。
現在の日米同盟に亀裂が走るとまで言われるような状態になったのは、そんな両者の相互補完的な怠慢が原因である。


こうした変化は今回が初めての事ではない。ソ連が崩壊し、同時に冷戦構造が終わった時にも同様の問題が起きた。その時はまぁそこそこ上手く乗り切った。冷戦後の日米同盟の新たな役割として定義する事を。恐らくこの成功例も彼らの怠慢に拍車を掛けたんでしょう。自分達が解っていればそれでいいと。また、同じ時期に最初の普天間移設問題が動き始めたのは偶然ではない。
そして9.11以降再びアメリカの長期戦略に変化が起こり、(少なくともアメリカにとっては)不幸にも、日本の政治中枢に今度はそれを「解っていない」人達がついてしまっていたと。当然のように「解っていない」人によって普天間移設問題も含めて、全て停滞する事となった。


さて、一体誰が悪かったのだろうか。彼らの無理解だろうか? それとも彼らの傲慢だろうか? 
そうした、お互いの怠慢という両義性が今の状況に重くのしかかっている。