オバマさんの「一番の悪玉は誰だ」戦略

原油流出問題でオバマさんのピンチをチャンスに変えようとする努力はどこに向かうのだろうか、なお話。


【コラム】BPを悪玉に仕立て権限拡大狙うオバマ政権の魂胆−ボーム - Bloomberg.co.jp

 政府が株式の過半数保有していない場合、担当規制当局の規則順守を徹底する以外、企業内部の事業に干渉することはできない。
  オバマ大統領はこのような常識をすべて覆そうとしている。メキシコ湾の原油流出事故に伴う環境や経済の被害に対する賠償金確保のため、英BPが配当を停止するよう望んだ。原油の除去費用や損害賠償の総額は最大400億ドル(約3兆7000億円)に上ると推計されている。BPはこれらを支払うだけの資力があると主張している。だが国民の怒りが強まるなか、BPはの配当金総額26億ドルの支払いを取りやめた。

(中略)

  まさしくその通りだ。今回の行為はオバマ大統領への信頼を失いつつある人々の一部から政治的な点数を稼ごうとする脅しの策略だ。
  実はオバマ大統領はこの策略を度々採用している。医療制度改革や金融規制改革、そして今回の原油流出事故でも、誰かをやり玉に挙げることにより自身への評価を高めようとする「一番の悪玉は誰だ」戦略に訴えている。

これは気付かなかったというか目から鱗というか、言われてみれば確かに納得できる話ではある。
しかし二週間位前の日記で「どうせ失点を回復するのは無理だよね」とかしたり顔で書いてた僕なんですけど、今にして思うと「あさはかなり」ですよね。そんな反省日記。

あくどい人ですか? それともオバマさんは別ですか?

まぁそれを好意的というか長所などに捉えることは確かにできる。
よく日本でも言われている「○○がわるい!」「○○の責任でこうなった!」「それは○○の時の対応のせいだ!」的な責任転嫁論。実際それも一つの事実ではあるんだけど、現在の対応責任を持つ人がそれを言ってしまったら話は何も進まないだろ的な感じではあります。それだけで終わるならまさに「ザ・無能の証明」という話です。そして実際オバマ大統領もそうした手法は結構、というかかなり多用してきた。共和党が悪いとか、金持ちが悪いとか、大企業が悪いとか、そしてBPが悪いと。

 反オバマ色を強める保守派運動「ティーパーティー」を念頭に「『何か対策を』と言っているのは、数カ月前まで連邦政府は過剰な関与をやめろと訴えていたのと同じ人々だ」とも語った。

http://sankei.jp.msn.com/world/america/100612/amr1006121238007-n1.htm

最近もこんな事を言ってすごい批判されてましたね。


しかし、それだけで終わらずに先に進む人も居る。一部の、ある種の才能を持つ人にとってはそれをプラスにする事もできる。
オバマ大統領は医療制度改革や金融規制改革でやったように、今回もまた原油流出事故の危機的状況を利用して自身の理想である更に「大きな政府」を目指そうとしている。その意味で確かにオバマ大統領はこれまでピンチをチャンスに変えてきた。彼は危機的な状況を利用して、自らの政策を実現に結びつけてきた。
そして今、オバマ大統領はクリーンエネルギー関連法案の推進をより訴えている。今だからこそやるべきだと。


この行動をを肯定するか批判するか、あるいは抜け目なさや政治的センスと見るか火事場泥棒的と見るか、まぁそれは見る人のポジションによるんでしょう。このブルームバーグのコラムニストにとっては記事の論調を見る限り、後者と捉えているようですけど。
しかしまぁ自分にとって、最初にも書いたように「言われてみれば気付く」的な話ではありました。僕も「オバマさんまた「○○ガー!」やってるんだなぁ」と生暖かい目で見てましたから。
どちらにしても少なくとも彼は、そんな「全体の危機」を利用して「自らのチャンス」に変えている。そしてその要素が故に嫌われてもいると。