始まる前から終わってます

ということで前回の時はあれほど騒がれていたCOPですが、今回のCOP16ではそれはもうひっそりと始まっていました。悲しい。


http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010112900451&rel=j&g=int
http://www.nhk.or.jp/news/html/20101130/t10015539641000.html
なんというかなんで前回のCOP15であんなに馬鹿騒ぎしちゃったんでしょうね? 明らかにその反動として世界全体の失望感はこうした温暖化問題の無関心に繋がっているわけですけど。ほんともう今考えると若気の至りが過ぎたというか黒歴史がひどい。オバマ大統領のアレとかラッド首相アレとか鳩山首相のアレとか。
ジャーゴン大好きな人からすれば最早「COPとかオワコン」なんでしょう。けどCOP16が失敗するなんて今更過ぎる既定路線ですよね。だからメディアの皆様もまったく報道する気はないわけだし。
COP16、包括的合意は困難=国連事務総長| ワールド| Reuters
適当に探してみたら8月時点でもうギブアップ宣言出てました。ギブアーップ!
といっても別に皆さんのやる気がなくなっちゃっただけであって、実際温暖化問題が消えてなくなったわけでは当然ない。単純に誰も期待も注目もしなくなったというだけです。いやぁ本当に最悪の結末という感じです*1。こうして本来真面目に穏健に活動していたはずの人びとが報われないと。


会議では、国連のフィゲレス事務局長が「課題が困難な時こそ、妥協することが、各国の主張の違いをまとめる知恵となる」と述べ、各国に歩み寄りを呼びかけました。初日の議論では、EUなど先進国が、急激な経済発展を続ける新興国温室効果ガスの削減義務を負うべきで、各国が納得できるバランスがとれた合意がまとまるよう求めました。一方、新興国や途上国は、今の温暖化を招いた先進国が引き続き削減義務を負うべきだと主張し、京都議定書の延長を求めており、会議は初日から双方が対立する形となっています。

http://www.nhk.or.jp/news/html/20101130/t10015539641000.html

そしていつもの構図に戻ると。いやぁ様式美です。以下各陣営のポジション。

  • 先進国:まさに現在の排出量の増加が続いている新興国も削減義務を負うべきだ。
  • 新興国&途上国:これまでの現状を招いた先進国こそが削減義務を負うべきだ。
  • アメリカ:排出量一位の中国が参加しない限り意味がない。*2
  • 中国:ぼくはまだまだ途上国で新興国ですし。

まぁそれぞれの言っていることは大体正しい。中国はともかく、よく批判されているアメリカの言い分も実際の排出量比を見れば全く理解できない話でもないんですよね。先進国は「現実的な」削減の為の対応を求めていて、新興国は「道義的な」削減義務を求めている。どう見ても妥協できる要素ありませんけど、実際お互い妥協する気もないんでしょう。結局の所、経済的なパワーゲームでしかないから。
それって以前の鳩山首相の25%削減目標のアレが批判されていたのとほとんど同じ理由でもあるんですよね。つまり、日本などの先進国で削った所でその分が消えて無くなるのかというと当然そんなことはなくて、その分は(ほとんどそのままに)新興国や途上国で増加すると。一般の企業としてはごく当たり前の行動である、ここでできないなら他所でやればいいという当たり前の論理によって。でもそれは総体として見ればプラスマイナス0にしかならない。
そんな地球規模で見ればプラマイゼロでも、企業が移ってきた新興国にとっては投資が増える分確実にプラスになっているわけで。そりゃ一致団結して先進国の道義的責任追求を頑張ってしまいますよね。本来の目的をさておいて。対する先進国の人びとも、それなりに、負い目があるのでそこまで強く出ることもできないと。
こうして問題解決へと動き出すことはなく、次のCOP17でがんばろう(何か状況の変化がある「かも」しれないから)、と先送りされるわけでした。