ソーシャルゲームの功罪

それを知恵と呼ぶか詐欺と呼ぶか。


アイテム課金に法規制? イメージエポック社長の御影良衛氏によるTweetが波紋 - 4Gamer.net

 イメージエポック社長の御影良衛氏のTweetによると,官公庁によりオンラインゲームや携帯ゲームでのアイテム課金に対してなんらかの規制が入る可能性があるという。

アイテム課金に法規制? イメージエポック社長の御影良衛氏によるTweetが波紋 - 4Gamer.net

へー、という感じです。へー。
まぁ主となる対象は流行りまくってる携帯等のソーシャルゲームなんでしょう。あの辺は無料詐欺のCMが最近怒られたように少しやりすぎ感がひどいので。ネトゲでも悪質なのは似たようなものなんだけど、やっぱりそこは地味故にそこまで怒られることもなかったのに。


さて置き、そもそも論で言えば『アイテム課金』とは何か?
といえばそれって結局の所「時間を買う」ということなんですよね。クリアまでに30時間掛かる所を20時間に減らす為にアイテムを購入する。金で時間を買う。まぁその点から見れば、現実世界でもよくある構造ではあります。結果的に見ればそんな単純な「投入時間勝負」よりも「投入時間勝負+投入資金勝負」の方がより、真に公平かどうかはさて置くとして、現実に近い構造を持っている故に私たちはそれを好むようになった。*1
ここで重要なのは、どちらの彼らも最終的に同じゴールに辿り着けるかどうか、という一点である。ぶっちゃけてしまえばその一点さえ守られていれば基本的には無料と謳うのも詐欺ではない。で、それが守られていたのかというと、悲しいことにそうではなかった。課金アイテムによる強力な釣竿が無ければ勝負にはならないし、あるいは課金アイテムだけに存在する強力な装備が無ければ初めから勝負にならなかったと。より多くの金を注ぎ込んだ方が最終的に勝利する。


といってもこんなことは多少オンラインゲームを齧った事のある人ならばすぐに気付くわけで。あるいはもっと単純化すれば、何らかのコンピューターゲームという概念に触れているのならば、いずれ気付く構造なんですよね。それが「投入時間勝負」なのか「投入時間勝負+投入資金勝負」なのか、それとも「投入資金勝負」でしかないのか。
対戦・競争する際、最初により多い金を払った方がほぼ勝つゲームが楽しいかどうか。
日常的に『ゲーム』をやっている人ならばそんな「投入資金勝負」がやってて面白いかどうかはすぐに気付く。そうではない人は気付かない。それもまた確かに一つの勝負の形態ではあるんだけど、しかし決してまぁそこまでいくとゲームですらないですよね、ということに。そうはいっても普段ゲームをあまりしない人たちが全く気付かないというのはむしろ少数派で、そこに気付くまでに時間が掛かってしまう、そのタイムラグの間にどれだけ稼げるかがゲーム運営会社にとっての生命線である。
携帯・PCの普及と進化は、この様な「そうではない人」を大量に生み出した。

アイテム課金は,PCオンラインゲームではすでに主流になって久しいわけだが,まあ,課金が甚だしくひどいところには人がいつかなくなるだけだったので,ある意味,自浄作用的に,ほどほどのところに落ち着いてきたというのが実情だろう。しかし,携帯電話などでは市場規模が非常に大きく,高額課金で離れる人が出ても,テレビCMなどで新規客をどんどん誘致すれば元は取れるという構図になっている。

アイテム課金に法規制? イメージエポック社長の御影良衛氏によるTweetが波紋 - 4Gamer.net

こうして現在の状況が形成されると。
それを初めから解っているユーザーの多いPCオンラインゲーム市場ではすぐ淘汰されることになるけども、しかしそうではないあまり馴染みない層にとっては気付くのに遅れるか、あるいはそもそも気付かない。何も知らない新規客を取り込めば取り込むほど売り上げは上昇していく。それは良く言えば新たな市場を切り開いた人びとの勝利であるし、悪く言えば欺瞞行為に近い。


少し前に、
野島美保の“仮想世界”のビジネスデザイン:ユーザーがお金を払いやすくなる仕掛け――アイテム課金が優れている理由 (1/3) - ITmedia Gamez
という記事があったんだけども、そこでは、

ソーシャルゲームでのマネタイズの特徴として、「欲を生み出すこと」「無料と有料の違いを演出すること」が挙げられる。そして、ゲームでの時間短縮機能を「高級肥料」として販売するなど、課金対象をアイテムとして具現化することが、課金をうながす上で効果的であるようだ。

野島美保の“仮想世界”のビジネスデザイン:ユーザーがお金を払いやすくなる仕掛け――アイテム課金が優れている理由 (1/3) - ITmedia Gamez

なんて説明されていた。けどもっとぶっちゃけてしまえば、彼らの優れている点とはつまり「それまで無かった市場を開拓した」であり、裏を返せば「無垢で何も知らない顧客を騙すことができる」という点でもあると思うんですよね。彼らは故に成功し、しかし全く同じ理由で批判もされることになる。
私たちはその行為を何と呼ぶべきだろうか?



といっても僕個人としては別にそれが、良かろうが悪かろうがあまり興味が無いです。それが規制されようが規制されまいがどっちでもいい。まぁ騙される人と騙されない人が生まれるのはいつものことでしかないから。
でも、ネトゲのガチャ系は全部爆発すればいいと思ってます。その点で、はやく一緒くたに規制されちゃえばいいのにと願ってます。