世界が逆に回転する-エジプト編-

キャンプ・デービッド合意から32年を飛び越えて。あ、未だに僕のプレイヤーには覚醒ヒロイズム健在です。(前回


http://www.cnn.co.jp/world/30001683.html
いつものAFPには記事が見つからないのでCNNから、ていうか何でオバマさんの声明がAFPBBに記事ないんだろう。ムバラクさんの次期選挙不出馬単体のはあるのに*1

複数の筋がCNNに語ったところでは、これに先立ちオバマ大統領はフランク・ワイズナー元駐エジプト大使を特使として派遣し、ムバラク大統領に対し次期大統領選への不出馬を発表するよう求めていたという。これまで米国にとってエジプトはアラブの重要な同盟国であり、中東和平プロセスに欠かせないパートナーだったが、今回の働きかけは、この外交政策の大きな転換を意味する。

http://www.cnn.co.jp/world/30001683.html

まぁ確かにそういうことになるのかなぁと思います。アメリカの中東外交政策の転換。アメリカとしても色々事情はあるんでしょう。それは念願だった中東石油の依存からの分散化や、あるいは南米地域の開発の目処が経ちつつあるからとか、あるいはロシアとか。
何にせよ、かつてエジプトから始まった中東アラブ世界の東西冷戦下での綱引きのバランスの逆転が、再びこうしてエジプトから始まりつつあるのは、まさに歴史の皮肉といった感じです。


あの時のキャンプ・デービッド*2ってもちろん単純にエジプトとイスラエル間の和平合意という意味もあったんだけど、それ以上に東西冷戦下でソ連よりに傾いていた当時の中東地域のバランスを、エジプトを引き入れることによって西側に引き入れるきっかけでもあった。あの合意(それとイラン革命)があったからこそ、現在にまで至るアメリカの中東政策の基礎ができたとも言えるわけで。当時アラブの盟主だったエジプトを一本釣りすることによって。
まぁ、その後和平合意を主導したサダトさんは過激な原理主義の人に殺されちゃうんですけどね。だから現在のムバラクさんの原理主義嫌いもそれなりに理由はあったりする。
ともあれ、やっぱりエジプトの持つポジションや地政学上の優位点は、冷戦の時代において東西間の大きなバランス変化の転換点ともなったと。
翻ってあれから32年と少し経った2011年、こうしてアメリカは再び外交政策の岐路に立つことになる。あの時もエジプト、そして今回もエジプト。エジプトまじすごい。まぁ私なんかにはこのオバマ大統領の選択がどう転ぶかはさっぱり予想もつきませんけどそれでもやっぱり、かつてエジプトから始まった現在の国際関係の構造が、また同じくエジプトからどのように変化していくのか、そんな解りやすい比較として見ると面白そうなお話ですよね。


ところで前回の第4次までの中東戦争終結したのって事実上、アラブ側の主戦力だったエジプトが上記単独の和平合意で離脱したからなんですよね。親欧米路線を辞めろと叫ぶのは別にいいんだけど、んじゃサダトさんからムバラクさんも引き継いだ『親イスラエル』寄りの路線はどうなるんでしょうね?
世界が平和でありますように。


次回に続く。
世界が逆に回転する-イスラエル編- - maukitiの日記