二次元から三次元へと進化した!

更にめんどくさくなっていく中東の反政府運動のお話。


バーレーン反政府デモ、激化すれば近隣国の軍事介入も 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

 各国が警戒するのは、バーレーンでのイスラムシーア派によるスンニ派政府への抗議行動が湾岸諸国に広がれば、それはシーア派国家のイランにとって大きな戦略的勝利となるからだ。

バーレーン反政府デモ、激化すれば近隣国の軍事介入も 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

ついにきた、という感じですよね。中東民主化問題の本丸。イスラム内の宗派対立。勿論イスラエル絡みの問題も同じ位重要ではあるんだけど、最終的により大きな禍根となりそうなのはこっちの方だと個人的には思います。その宗派対立の方こそが。かつてヨーロッパで広汎な旧教対新教の状況があったように、やっぱりここでも同じことがおきるんじゃないかと。ウィキリークスの暴露によって証明されたように、サウジアラビアをはじめとした中東の指導者たちがイランの核開発について武力攻撃をも許容するほどに危険視していたように。*1
だから構図的には、ASEANなどの周辺諸国を切り崩して衛星国作りに勤しむ中国、に近い物があると思うんです。
皮肉なことに、中国がそれを経済力と軍事力という古典的なパワーによって行っていることを、イランを中心とするシーア派の皆さんは少なくとも「民意」を立てて迫っていると。少なくともバーレーンでは真っ当に選挙をしたら国民の70%以上を占めるシーア派がほぼ確実に勝つのだから。私たちもチュニジアやエジプトのあれを賛美した手前、今更あまり強い事は言えませんよね。
でも周辺にあるスンニ派な国の皆さんにとってはそうではない。最近あった前例のようにバーレーンだけが勝手に沈むだけならともかく、それがシーア派スンニ派のパワーバランスの変化まで招いてしまうとしたら到底看過できない。故に彼らは一致団結して軍事介入をも辞さないと表明している。


いやー独裁政権vs民主化勢力というだけでもめんどくさいのに、それに宗教対立まで加わるなんて、なんかもうすごいドキドキしますよね。二次元から三次元への進化。よく中国さんの台頭をもって「第三次世界大戦だー!」と嬉々とぶち上げてしまう人がいらっしゃいますけど、でもそれだけじゃ足りないんですよね。加えて他の場所での地域大国が出て来ないと。で、それに名乗りを上げつつあるのが、他の中東諸国の指導者たちが恐れていた、イランであると。
アメリカが、オバマさんが今からどんな反応するか楽しみですよね。


といってもまぁ、ヨーロッパの皆さんでさえ宗派対立の自省やそれに伴う内政不干渉の原則を学び取ったのは、結局の所、戦争の反省から得たわけで。そしてようやく近代の入り口に立つことができた。*2
なのでその歴史を考えてみれば、やっぱりまぁ中東でも一度ゴタゴタが起きない限り学習しようとはしないんじゃないかと悲観的に考えたりします。ほんとはその辺をイ・イ戦争辺りで学べばよろしかったんでしょうけど、結局それは温存されてしまったから。次こそは学んでくれるといいなぁと思います。そんなこんなで、世界が平和でありますように。