何故彼らは非常時ほどデマを真に受け、そして買いだめに走ってしまうのか?

情報リテラシー」と言うだけでほぼ終わってしまう話ではあるんですけど、それだけじゃつまらないので、もっと敷衍して適当に考えてみます日記。


でもよく考えたらそれって当たり前ですよね。だって私たちは常日頃から「健康第一」や「自分の身体の安全を最優先」として生きているのだから。自分に対しても他人に対しても。まるで教義的な熱心さでもってそれを追求し、そして普及している。「健康こそが一番重要である」と。
だから自らの健康と身の安全に敏感であればあるほど、僅かでも危険な兆候を捉えるとまるでそれが重大な被害をもたらすと過剰に反応し、その将来的な安全の為に安定性という余裕を持たせようとする。
非常時はともかく、普段私たちはそうした態度について非難するどころかむしろ推奨しているんですよね。あれは自分の体に良くないし、これは健康に良くない、それは健康の為になる、あるいは「○○は長生きできる」ことを気にしている。タバコを吸っている人間は(何より重要な健康に被害をもたらすという点において)人間のクズである、などと。


だからよく一般にお年寄りや年齢層が上であればあるほど、そうしたデマに踊らされることや買いだめ行為が起こりやすいのって、実は当然の帰結だと思うんです。それはよくある情報処理の問題という要素も勿論あるんだろうけど、しかしむしろより大きな要因となっているのが彼らの『健康信仰』であるから。ごく当たり前の話として、彼ら高齢者は若い人たちよりも己の身の健康と安全について強い関心を抱いている。その信仰ゆえに、彼らはデマを信じ買いだめに走る。
私たちの社会は常日頃その『健康信仰』を許容するだけでなくむしろそれを煽り、しかし結果として現在こんな状況に陥っている。
いやぁ皮肉なお話ですよね。


といってもそうした行為は確かにある程度までは合理的ではあるんです。やっぱり自分の健康と身体は取替えの利かない貴重な唯一無二なのだから。その為には多少安全基準を高めに設定しても仕方ないと。現実的でないデマに踊らされる事も買いだめに走る事も、それを一概に合理的ではないと言い切ることはできない。何故ならその合理性か否かの基準を決めるのは、彼らの信仰の強さ、であるのだから。


それは異宗教を信じている人たちを見ている構図、に近い。信仰のない私たちにとって彼らがバカなように見えるのは、実際に彼らが私たちよりバカなのではない。彼らはただより信じているのだ。私たちより強くその『健康信仰』を。