日本の自殺問題について

自殺問題と絡めた日本批判、のお話。


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まぁよく考えれば当たり前の話ではあります。確かにそうした身も蓋もない研究結果は珍しいかもしれない。


さて置き、僕の個人的なポジションとしては、あんまり「日本の自殺率は高くてけしからん云々」のお話って好きじゃないんですよね。だってそんなこと言ったって結局の所、自殺する要因の大半が以前の日記でも書いた「病苦」とそして「経済的困窮」がその多くを占めるんだから。*1
で、その話が最終的に行き着くのは「現代医療技術の不完全さ」と「日本の長期的不景気」でしかない。それって当たり前すぎて敢えてわざわざ「自殺対策の為に」と言及するまでもないですよね。できるものならとっくにやってる。


あるいはもっと根本的に私たちの社会の構造的欠陥にも批判の目を向けることはできる。例えば経済至上主義、拝金主義、個人主義、自己中心主義と呼ばれるものによって引き起こされているのだと。
でもそこから見えるものって「日本の弱さ」ではないと思うんですよね。むしろ社会の発展の度合いとされる、高い労働倫理や広く普及した福祉・高度医療技術や自由主義思想について、日本が世界でも最も先頭を走っているからこそ、逆説的にこうして自殺の問題が浮上してくる。働けないことを恥と感じるからこそ、自分の稼ぎで暮らしていくべきだと常識的に教えられるからこそ、世界でも最も長寿を誇る社会が成立しているからこそ。それって表裏一体ですよね。
つまり「日本が遅れているから」自殺が多いのではなくて、むしろ「日本が先に進んでいるからこそ」特に目立って起きているのではないのかと。


少なくとも自殺の問題について、日本が世界から遅れているんじゃなくて、むしろ世界が日本のようになっていくんだと僕は思います。もちろんだからといってその対策に手を抜いていいというわけではないですけど。
その上で、結果的に自殺が問題になるような上記にある「成熟した現代先進国に広く普及している諸価値」が間違っているからだ、と批判することは当然意見の一つとして認められるべきでしょう。僕には現代の価値観・思想の代替となるものを提示できる気がまったくしないのでその意見に与することはできませんけど。
皆さんはいかがお考えでしょうか?