中国さんちの家庭の事情、なお話。
中国、拘束していた人権派弁護士を解放、別の弁護士が行方不明に 写真2枚 国際ニュース：AFPBB News
遂に「鳥の巣」作者まで拘束した中国政府 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ということでノーベル平和章のアレから中東及び北アフリカの政変を受けて、なんというか一人で盛り上がりまくってる中国さん。まぁ解らない話ではないですよね。それまで「人権後進国」の総本山だったロシアは、未だ途上ではあるものの、でもそれなりに進歩してきているわけだから。で、となると次の総本山となった中国さんとしては、まぁこうして対応をせざるを得ない。そうした民主化の動きは、ほぼ確実に中国へと余波が向かうだろうし、また中国を見守る私たち海外の人びとも、実際それを内心期待しているのだから。
中国もはやく民衆が暴動を起こして革命しちゃえばいいのに、と。
本来『資本主義』が進めば、自由や自治といった概念が広く国民の間に普及するはずなのに。だからこそ中国のことを「責任あるステークホルダー」などとも同様に言ってきたのに。
でも、上記のような厳しい取締りを見る限り、最近の中国にはまったくそんな気配は見られませんよね。民主化が進む気配はないし（むしろ過去よりも悪化してさえ言える）、そしてまた「責任あるステークホルダー」になってくれる気配もなかった*1。
一体なぜこうした目論見は外れてしまったのだろうか？
その答えの一つとして以下の所で面白いお話がありました。
http://www.demdigest.net/blog/2011/04/why-doesnt-china-democratize/
So why isn’t China democratizing?
The answer is not that the Communist Party has forged a new “Beijing Model” of authoritarian capitalism, writes Dan Blumenthal. The problem is that despite its market mechanisms, China’s economy “is not really capitalist at all,” and so its citizens remain deprived of the individual autonomy essential to cultivating a democratic culture.
http://www.demdigest.net/blog/2011/04/why-doesnt-china-democratize/
要約：「ぶっちゃけ中国のアレは資本主義のように見えて、実はそれとは違う別の何かだから仕方ない。いやマジで」
えぇー今更になってそんなこと言われても。しかしまぁ実際中国さん自身もそんなこと言ってもいるわけなのである意味正しいのかもしれない。
続いてフランシス・フクヤマ氏は、
Francis Fukuyama,* amongst others, has argued that the loyalty of China’s middle class has effectively been purchased by a regime which offers economic security in exchange for political passivity.
http://www.demdigest.net/blog/2011/04/why-doesnt-china-democratize/
要約：「ぶっちゃけ金さえ渡しとけば中国の大多数の人間は政治的には大人しくなるから。いやマジで」
えぇーそんな身も蓋もない。しかしまぁ中東の産油国とかを見ればそう言いたくなる気持ちも解らなくはないですよね。
さて置き本題。上記サイトから敷衍して考えると、まぁ結局の所、個人的には中国さんはあのソ連崩壊から上手いこと学んだんだと思うんですよね。
つまるところ、あれはやっぱり経済危機によって引き起こされたものだったから。故に中国が本質的に恐れているのは、そうした経済的困窮から革命に繋がる、これまでの歴史でも幾度となく繰り返された『即死コンボ』であると*2。中国はそうした危機を回避する為に一部で資本主義を導入し、そして資本主義導入による避けられない副作用である、市民の民主化への渇望という「資本主義の毒」を抑えることにさえも、それなりに成功してきている。
いやぁこうして見ると中国共産党の人びともそれなりに優秀なんじゃないかって思います。過去の歴史から学んだ上で、上手いこと危機を乗り越えていってる。「経験よりも歴史から学ぶ」という賢者だと言えなくもない。*3
そんな中国さんの悲しいまでの努力を見て、昔から言われてきた教訓を思い出します。
「一つの嘘が次の嘘を呼び、その嘘がまた次の嘘を呼ぶ」
その国家体制を維持する為に、経済危機を避け、経済危機を避ける為に採った方法によってまた危機を呼び、そしてその危機を避ける為に採った方法によってまた更なる危機を呼ぶ。
いやぁ悲しいお話ですよね。本来あった流れから一度逆らおうと思ったら、以降延々とその努力を続けていかねばならない。一度でも泳ぐのをやめてしまったらそれまで全ての努力が水の泡になってしまう。延々危機への先回りを続けていかなければいけない。
なぜ中国は民主化しないのか？
そりゃ今更もう引き返せないからですよね。ここで引いてしまったら、これまで努力して不自然に積み上げてきたものは全て崩れ消え去ってしまうのだから。
*1:中国を「責任あるステークホルダー」なんて言い出したのは何故？ - maukitiの日記
