アメリカ「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」

いや、端から見て実際に元気かは知りませんけど。


債務上限引き上げ法が成立、米国 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで紆余曲折の末、なんとかかんとか成立にこぎつけたようで。おめでとうこざいます。お互いに制限時間をチラチラ横目で見ながらの茶番、とまでは言いませんけど、まぁそれに近い要素はあったんじゃないでしょうか。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/17215
共和党は最後の最後まで「ティーパーティガー」を連呼してオバマさんにうまく妥協を迫りつつ最終的には彼らを裏切り、そして民主党のアレな人びとに対してオバマさんはさすがに「民主党内の反対派ガー」とは今更言えないのでがんばって説得して回ることになったと。まぁその民主党内の反対派ポジションが実は本来のオバマさんの立ち位置(増税派)でもあるのが愉快な所でもあるんですけど。
民主党共和党の彼らはそのどちらも妥協的な合意を拒否する人びとを党内に抱えていて、しかし最終的にはその与党と野党という立場の差によって、このような形の妥協案が成立することになった。いやぁどこの国でも変わらない風景ではありますよね。
こうした構図の中で右からも左からも、全て悪魔のようなティーパーティが原因だとか、あるいはティーパーティこそが(共和党寄り)妥協案の成立を導いたとか、色々言われていますけど個人的にはあんまり同意できないんですよね。だってどう見てもいいダシに使われた話にしか見えないじゃないですか。本当に鉄砲玉おつかれさまでした。


ともあれ、確かにこうした話はかなりオバマさんには不公平ではあるんだけれども、しかしやっぱり「それならそもそも何故こんなになるまで放置してしまったのか?」という所にも行き着いてしまうわけで。

オバマ大統領は妥協の必要性を強調したが、大統領の考える妥協とは、共和党増税要求をたたき付けるために国民に訴えることだった。共和党は富裕層を保護し、社用ジェット機を持つ企業や石油会社をメディケア(高齢者向け医療保険)に頼る高齢者より優遇し、ヘッジファンド・マネジャーを彼らの秘書より大事にする――と、大統領は有権者受けのいい語り口で非難した。

【社説】オバマ大統領の指導力「不履行」 - WSJ日本版 - jp.WSJ.com

『野党ガー』ということは確かに楽な方法ではあるんだけれど、しかしまぁそれを言っても何も解決しないわけで。そんなことしてる暇があったら重症化する前にさっさと片付けておけばよかったのに。その意味で正しくオバマさんはその先送りのツケを今回払う事になった。本来の支持基盤だった民主党内の支持者たちをも裏切ることで。
ついでにいうとそのオバマさんのツケを払うのはアメリカ国民であり、そして安全保障をアメリカにかなりの部分まで依存している私たち日本であり、経済的に繋がっている世界中の人びとでもあるんですけど。


なので今回の一連のゴタゴタのオチとしては、
アメリカ:「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」
世界:「うるせー! 何でもいいからさっさとどうにかしろ」
な構図辺りじゃないかと。悲劇なのか喜劇なのか、あなたのお好きな方で見るとよろしいと思います。