金は国家なり

タイトルオチです。


洪水写真捏造は食糧不足の危険信号か | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
そういえば少し前に話題になってましたよね。あの微妙な出来映えの北朝鮮の洪水捏造写真。見事にそういうのが好きな人たちの素材・オモチャになってました。
で、全体が困窮しているかと言うとそうでもないわけで。

確かに北朝鮮の食糧事情は悪化している。EUの人道支援事務局は6月に北朝鮮に調査団を派遣。「北部と東部で食糧事情が悪化し、65万人が深刻な栄養失調の状態にある」として7月、1000万ユーロ相当の食糧支援を決めた。

その一方で北朝鮮の特権階級による高級嗜好品の輸入は倍増している。中国の関税統計などによると北朝鮮は今年1〜5月、高級洋酒やたばこを昨年同時期の2倍の約1000万ドル輸入。マクドナルドのハンバーガーまで北京から航空便で運ばれた。

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ハンバーガーが高級嗜好品な所は笑うべきなのか泣ける話なのか。ともあれ、まぁ単純に「救えない」話ではありますよね。いくら援助を積み上げたところで、しかし本当に困っている人たちには届かないと。
まぁそれは非人道的であるという見地から当然批判される行為ではあるんだけれども、しかし政権維持という観点においては正しい選択でもあるんですよね。つまり、援助物資の分配はその国家機能や正当性の弱体化を招くわけです。特に、政権が腐敗しているからと現地政府を介さずに援助を届けることは、より一層現地政府の機能を弱体化させることに繋がる事になる。まぁそんなことを北朝鮮さんちが認めるわけありませんよね。


それを解っていながらも何もしないよりはマシということで、私たちは彼らに食糧援助を行なうわけです。そしてそれは案の定政治目的に使われることになると。そんな困窮する北朝鮮の人びとを救おうと外から金を出すことは、結局、特権階級のハンバーガー代にしかならない。一体何処の絶対王政かと感じですよね。金王朝こそ国家であると。
最近の中東の事情から翻って、改めてこういう北朝鮮さんちの事情を見ると、革命や暴動が起きるのはその絶対的な弾圧強度ではなく「相対的なもの」でしかないんだなぁと再確認してしまいますよね。
それまで食えていたものがある日食えなくなるからこそ彼らは暴れるのであり、あるいはそれが非日常であるからこそ彼らは日常を取り戻そうと熱狂する。その両者の落差がこそが人びとを駆り立てるのだと。


いつかきっと北朝鮮の人びとも気付くのでしょう。それは「今すぐ」というわけではないけども、「金こそが国家」では決してないことを。そしてまぁ究極的には、彼らがそうやって目覚めない限り、多分私たちにできることは何もないんだろうなぁと。最低でも内部から何かを変えようとする動きがない限り、国家主権の名の下に私たちは傍観を続けるしかない。
その点において、ある意味こうしたバカげた捏造写真さえも、彼らの『正しい統治』を体現しているのでしょう。国家=金さんち、にとって正しいやり方を。