孤立主義へと回帰するアメリカ

変事でもなんでもなくて、ある種の予定調和なお話。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110829/222315/
なるほどなぁと。仰ることは確かに理解できない話ではありませんよね。
でもまぁ、こうした『引き篭もるアメリカ』というのは現在の経済状況を予測される前の時点から既にかなり言われていた話でもあるわけです。つまりイラク戦争の事実上の失敗から、かつてのベトナム戦争後のように、その反動としてアメリカはネオコン外交政策から伝統的な孤立主義政策へと国民世論的も(特にそれまでネオコン支持だった人びとによって)シフトしていくだろうと。
そうした状況に加えて、現在は決定的な経済情勢の悪化がプラスされているわけです。いやぁオバマさんもほんと大変ですよね。
特に雇用の問題なんかはこのままいくとオバマさんの二期目さえも危なくなっているという所にまで来ちゃっていて、故に劇的な軍事費削減などが強く叫ばれているわけであります。それが本当に効果があるかはともかくとして、しかし少なくとも彼が努力していることのアピールにはなるだろうと。がんばってネーションビルディングしてください。

 世界の地殻変動が進行する中、米国は限られた資源を使い、国際政治のマネージメントに努めようとする。サイバー戦争、経済戦争、諜報戦争、特殊作戦…、これからの米国の戦争は地下に潜り、見えない世界で展開される。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110829/222315/

しかしまぁこうした戦争の形態のほうがアメリカにとっても都合がいいですよね。米軍なんて在日米軍のように抑止力として置いておくだけで十分効果があるんだから。
ていうか志願制の癖にイラク戦争みたいな長期戦やろうっていう方が間違っていたんですよ。まぁそれを自覚していたからこそ短期決戦で終わらせるなんて当時のホワイトハウスの偉い人たちは考えていたんでしょうけど。その辺りの決断を巡って今でもケンカしてて愉快ですよね*1


こうした流れの中で『世界秩序の崩壊』というのは、確かに避けられない運命なのかなぁとは思います。
そして重要なのは、如何にして秩序だった後退を粛々と行なえるか、という辺りになるのでしょう。古今東西の戦訓が教えてくれるように、いつだって「後退」する時にこそ混乱によって悲劇的な被害を被ってしまうわけだから。その一つの解として『オフショア・バランシング』なんて語られるようになってきたのかなぁと。