すべてのゲームを過去にしたもの

発想の逆転による勝利。


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「基本無料」でビジネスをする方法――ソーシャルゲームのマネタイズ戦略 (1/6) - ITmedia ビジネスオンライン
ということで少し前に盛り上がってた携帯ゲー運営・開発にまつわるぶっちゃけトークのお話。


いやぁすごいですよね。しかしまぁ確かに方法論としては間違ってはいないのでしょう。「如何に面白いゲームを作り金を稼ぐか」ではなくて「如何に金を稼ぐ為にゲームを作るか」という視点。両者は似ているけども、しかし同一のものとも言えない。その事の是非はともかくとして、方法論としては正しいし、ある意味誠実でさえあるとは思います。
実際ネトゲの黎明期たる『Ultima Online』以降、アイテム課金などの迷走を見れば解るように、PCのネットゲームはそうした葛藤を常に抱えてきたわけです。如何にして開発したゲームで金を落とさせるか。如何にして開発したゲームに金を落とさせるシステムを盛り込めるか。その試行錯誤の末路があの無数に生れたクソゲーの山だったわけですけど。


しかしついに、そんな悩みを根本的に解決する方法に至ったわけです。つまり『ゲーム』という枠に捕らわれるからこそPCのネトゲあの無数の失敗に至ってしまったわけで、ならばはじめからゲーム的な要素など取っ払ってしまえばいいのだ、と彼らは結論している。
いわゆる既存のゲーム的な概念、投入時間や操作量や知識量を下手に導入するから失敗するのであって、よりもっと単純に『投入金額』で勝負が決まる世界こそが正しいのだと。ユーザーはゲームの中身に金を払っているのではなく、「認知への欲望」をはじめとする自己顕示欲や蒐集欲に従って金を払っているだけなんだ、という結論に彼らは至ったわけです。そして現在の状況は、それが正しかったことを証明している。
こうして、少なくとも如何にしてゲームで金を稼ぐかという点において、全てのゲームは過去になった。


まぁそれで満足している人が居るならばそれでもいいんじゃないでしょうか。このシステムにおいて悪魔的によく出来ているのは、単純な金額の制限なき積み上げで勝負が決まるのではなくて、上限が設けられている所ですよね。「○万円課金すれば最強になれます」と。そしてその勝負は定期的なバージョンアップとイベントによって、常にリセットされ続けていく。
この話のキモは、ゲーム的な要素を排除して成功した彼らがそれでも尚これを『ゲーム』だと言い続けている所にあるのでしょう。
「え? いやいやこれはあくまでゲーム(笑)ですから」