遠すぎたゴール

アフリカさんちのようやく見えてきた(かもしれない)ゴールのお話。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/31490
アフリカすごい。それこそほとんど常に開発経済学の失敗の歴史とイコールであったアフリカ大陸における経済発展(失敗)の歴史。そんなアフリカと開発経済学の悲しい歴史がようやく終わりを迎えつつあるのかなぁと。いやぁぶっちゃけようやく成功の兆しが見え始めたとはいえ、ここまで盛大に失敗しまくってきたことを考えると、喜ぶべきなのか悲しむべきなのかそれとも怒るべきなのかよく解りません。こんな時どんな顔をしたらいいのかわからないの的な。

 欧米諸国は、単に支援をまきちらすのではなく、貿易の扉を開くべきだ。多くの商品の関税障壁を取り払った米国のアフリカ成長機会法はいい足がかりになるが、これをさらに拡充し、またほかの国々でも採り入れていく必要がある。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/31490

ともあれ、まぁその通りではあるんですけど、しかしこんなこと「何十年前から言われているんだ」っていう話でもあるんですよね。
少なくともその開発経済学における先駆者たるアーサー・ルイスさんでさえ、貿易が経済成長を促進する力を過小評価していた、なんて反省しているわけで。そうした失敗は少なくとも80年代以降には明らかになりつつあったにも関わらず、しかしアフリカの多くの地域で失敗は今日まで温存され続けてきたし、そして私たち先進国は彼らに真に益となるはずの関税障壁を無くせていない。
まさに彼らが必要とする、農業や衣料など――貧しい国々が貧困から脱却する為の機会がもっとも大きい産業でこそ、先進国たちの貿易障壁が高いままである、という構図。彼らに本当に必要だったのは、私たちが大量に投下した援助そのものではなくて、そうした貿易障壁の撤廃だったのに。
しかしまぁ何で私たちがそれを出来ないのかについては、最近の私たちのTPPの議論で盛り上がっている様子を見れば一目瞭然ではありますよね。


ともあれ、私たち先進国の間でグローバル化への不信感、自由主義や国際貿易こそが格差を助長し固定化させているのではないかと根本的な部分から疑われている現状に対して、こうして貧困国からようやく脱しつつあるアフリカのような国々こそがそうしたものをより求めるようになったという構図は、まぁなんというか皮肉な話だなぁと。少し前までは、先進国たちこそが市場を求め、対する貧困国たちはそれを搾取だと非難するようなポジションに立っていたはずなのに。それが今じゃこんなことに。
こうして概観すると、世界ってままならないなぁと生暖かい気持ちになってしまいます。みなさんはいかがお考えでしょうか?