何がしたかったのかはわかるが、やりかったことというのはその程度なのか?

まぁそれで満足していたのだとするとそれはそれで悲劇なお話だなぁと。


仏連続銃撃事件、容疑者が銃撃戦の末に死亡 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
仏乱射:立てこもりの容疑者は「普通の若者」落差に衝撃 - 毎日jp(毎日新聞)
ということで犯人死亡で終わってしまったそうです。関係者の皆さまおつかれさまでした。まぁ終わってみればなんというか「イスラムの人によるユダヤ憎悪」という背景としてはものすごくベタな展開過ぎて逆に肩透かしな気分ではありますよね。今時こんな解り易い展開があるなんて。

 報道によると、メラ容疑者は、けんかなどで検挙されたことはあるものの、知人などの証言では「普通の若者」で、主な話題は車やサッカー、女性だったという。21日夜には、人なつっこい笑顔で車を乗り回す映像が仏テレビで放映された。立てこもり中に携帯電話で話をした地元ジャーナリストは「礼儀正しく、おとなしい青年だ」と印象を語った。

 10、11年にパキスタン渡航してイスラム過激派と接触したとの情報もあるが、数週間前には若者向けの酒場に顔を出しており、過激派のイメージとは必ずしも一致しない。

 ベルギーのルーベン・カトリック大学のブリギッテ・マレシャル教授(イスラム研究)はメラ容疑者の暮らしぶりについて「伝統的なイスラム過激派とは違う」と指摘する。パレスチナ紛争や仏軍のアフガニスタン派兵などを理由に「イスラム教徒による復讐」を掲げて殺害に及んだ容疑者は「計画的で、理知的」だが、「宗教だけで国際関係を理解しようとする世界観が凶行に走らせた」とみる。

仏乱射:立てこもりの容疑者は「普通の若者」落差に衝撃 - 毎日jp(毎日新聞)

「普通の若者」として語られているみたいですけど、よくこうした事件で語られるような「民主国家の中で生きながら過激派イスラムに走る若者」というような、所謂『デラシネ』的な社会から孤立した人物、というような人にはあんまり見えませんよね。勿論ただニュースだけを見ての印象に過ぎませんが。
その意味ではむしろいきなり『目覚めちゃった』若者というお話になるのかなぁと。
そう見ると、『殺されたパレスチナ人のために復讐』と『フランスがアフガニスタンに軍を派遣』と『イスラム教徒の女性に顔を隠すベールの着用を禁止』と、関連性が微妙によく解らない三つの理由を挙げつつ、その上で七人を殺したとかこれまたよく解らない結論にたどり着いているのも理解できなくはないかなぁと。確かにそれぞれ一つのテーマとしては怒りを覚える理由としては解らなくはないんですけど、それを三つに同時に並べた上で、ユダヤ人の子供とカトリック教徒とイスラム教徒を射殺って、一体何がしたかったんだ感がすごいです。かくしてタイトルにある各国兵器コピペの、フランスの兵器「何がしたかったのかはわかるが、やりかったことというのはその程度なのか?」みたいなオチに。
しかし引用先の教授の発言である「宗教だけで国際関係を理解しようとする世界観が凶行に走らせた」というお言葉は正論過ぎてぐうの音も出ませんよね。まぁ若者が社会悪への義憤にいきなり目覚めちゃったパターンって大抵そういうものと言っては身も蓋もないんですけど。




さて置き、今回の事件ではサルコジさんをはじめ候補者の皆さまも続々と現地入りしていて、見事に政治利用されちゃっているお話でもありますよね。かくして若者の熱狂は老獪な政治家たちに二次利用されてしまうと。
連続銃撃事件、フランス社会に衝撃 大統領選にも影響 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
仏大統領選、学校乱射事件後にサルコジ氏追い上げ=世論調査| Reuters
特にサルコジさんがその選挙戦略から右寄りの主張「移民大杉」を繰り返している辺り、やっぱり追い風にもなってしまうんでしょうし。フランスの民主政治はどうしようもないなぁ。まぁガソリンの値段で左右されてしまうようなアメリカ大統領選、あるいは漢字の読み間違い等で左右されてしまうような日本のそれと較べてどちらがマシなのかと言われると困ってしまいますけど。
ともあれ、なんか左派がまた分裂の気配を見せつつある辺り、こうなってくるとかつての『ルペン・ショック』が再来してしまいそうな雰囲気ではありますよね。そしてサルコジさんが左右両方からの圧倒的支持で80%近い得票を得て「フランスの民主主義おわた!」とか叫ばれてしまうんですよ。それなんてシラク二期目。