カダフィの遺産

彼が徹底的に政治組織を弾圧し焼け野原にしたからこそ、本来は脆弱なはずのリベラル派が勝利しそうだという皮肉なお話。まぁ確かに一つの遺産ではありますよね。


http://japanese.ruvr.ru/2012_07_09/ribia-gikaisenkyo-hishuukyouseitou-riido/
リビア議会選挙、リベラル派優勢 - MSN産経ニュース
ということでリビアではイスラム系の政党が「それほど」勝ちそうにはないそうで。

リビア議会選挙では現在のところ、リビア国民暫定評議会の前首相ジブリール氏が率いる非宗教政党の「国民勢力連合」がリードしている。エジプト紙「アルアハラム」が9日、伝えた。
出口調査の結果によると、「国民勢力連合」はトリポリで80パーセント、ベンガジで約60パーセント、リビア南部で50パーセントの得票率を獲得している。

リビアは革命後に「ムスリム同胞団」などを母体としたイスラム系の政党が勝利した一連の「アラブの春」諸国とは異なるとみられる。

http://japanese.ruvr.ru/2012_07_09/ribia-gikaisenkyo-hishuukyouseitou-riido/

まぁそれって概ね、カダフィさんの時代にそうしたイスラム系の政党をそれはもう徹底的に弾圧したからこそ、ではあるんですよね。ほぼ根絶やしに近い状態にまで追い込み国外へと逃亡させたからこそ今の彼らの不振があるわけで。隣のエジプトのムバラクさんなんてそうした人たちを中途半端に非合法化辺りで済ませたものだから、地下活動を続けたムスリム同胞団の人たちによって現在ああした状況になってしまっているのでした。
なぜ『革命』は奪われてしまうのか? - maukitiの日記
先日の日記でも少し書きましたけど、宗教政党が勝つのはやっぱりそうした地道な草の根の政治活動が身を結ぶからこそなわけです。しかし弾圧下のリビアではそれさえも出来なかった。その帰結として今日の選挙の結果があると。以前の独裁者が徹底的にやったからこそ、現在になってリベラル派が勝利したリビアと、そこまでひどく弾圧しなかったエジプトの現状について。同じ独裁者であっても、その対応の差が明暗を分けてしまった。いやぁ皮肉なお話であります。


チュニジアやエジプトなどよりも、よっぽどイスラムという要素は濃いはずのリビアでこうした結果になるのは面白い結果ではあります。ムバラクさんももっと徹底的に弾圧していればエジプトも選挙でリベラル派が勝ったかもしれないのにね。
もちろんそれはリビアではそうしたイスラム的な価値観が一般的だからこそ、敢えて争点になるまでもない、というお話でもあるのでしょう。ただやっぱりイスラム政党ではなくリベラル派が勝った要因ってそうした前独裁者の戦略の違いも影響しているんだろうなぁと。