民主党の成功体験に支配される自民党と維新の会

前回日記の続き。あるいは現実版「人びとに負の感情がある限り、魔王は何度でも蘇るだろう」なお話。


オバマさんの成功体験に支配される共和党 - maukitiの日記
昨日の日記で、オバマさんの『成功』によって、皮肉にも共和党も同様に保守の救世主を求める政治状況が生まれてしまってとても愉快なことになっているよね、ということを書きました。いやぁアメリカさんちは大変だなぁと。端から見ていると不毛な感じがよく解ります。


――ところがぎっちょん、それって私たち日本でもまったくの他人事というわけではないんですよね。あの2009年の民主党による政権交代以来、自民党大阪維新の会も上記アメリカのそれと似たような構造に陥っているんじゃないかと。
最近の自民党の国会での――それこそかつての民主党の振る舞いを彷彿とさせるような――バカげた手法や、あるいは維新の会による――それこそかつての野党時代の民主党マニフェストを彷彿とさせるような――バカげた政策目標など、確かに何で今更彼らはそうしたバカげたことをやっているのかと批判することは簡単であります。
しかし実際には、2009年のあの時、あの鳩山さんが率いる民主党はまさにそのやり方で大勝利を収めることに成功したわけですよね。そして今の彼らは『勝利の方程式』として、それを見事に正しくなぞっている。それを私たち有権者や、あるいはマスコミのみなさんが幾ら間違っていると言ってみても、しかしあまり説得力はもたないと思うんです。だって、現実に、歴史の事実として、それであの時の民主党は勝ったのだから。
もちろん彼らのその目算は間違っているのかもしれませんし、一度痛い目を見た私たち有権者は学習しているのかもしれません。しかし未だに何も変わっていないのかもしれない。
だからこそ、わずか数年前に一度結果を出してみせた『勝率の高そうな戦略』を採る彼らを責めることは個人的にはできないかなぁと。彼らを「不誠実だ!」なんて言うことはとてもできません。だってそんな「不誠実なやり方」に対して、私たち有権者は確かに前回信認を一度与えてしまったのだから。政権を獲れなければタダの政治家だし、そして政治家が選挙に落ちればタダの人、でもある彼らはそれはもう全力で必死に生き残る道を探そうとしている。そして彼らは「もっともさえたやり方」にたどり着いているのです。悲しいことに、その到達点は完全とはとても言えませんけども、だけど「それなりに」正しい。


その意味で、今の日本の政治状況は、私たち有権者が政治家をバカにしているの同じくらい、少なくない政治家たちも同様に有権者をバカにしているんだろうと思っています。
「こういうやり方で勝てるんだろう?」
次の選挙のことしか考えていない国会運営や、まるで現実的でないマニフェストたち。確かにそのやり方はバカげています。ふざけた話であります。有権者を舐めきっています。
しかし、そもそも彼らにそんな風に勘違いさせ確信させたのは誰かというと……、つまりそういうことなんですよね。それが意図しているのか無意識なのかはわかりませんけども、しかし今突きつけられている構図は、間接的に前回衆院選挙のときの有権者たちの姿を見せられてもいるのでしょう。


現状の民主党をバカにする人は少なくありませんし、またバカにすることは簡単ではありますけども、しかし同時にそのバカにしている矛先は一周回って私たちのほうへ還ってきてしまう。きっと今のままで居る限り、第二・第三の『民主党』は必ず復活してしまいそうです。そんな言説に対して「私たちは失敗から学習し進歩しているのだから、同じ間違いは犯さない!」と前向きになることもできるでしょう。まぁ僕としては、ヘーゲル先生じゃありませんが、「経験や歴史の教えることは、私たちは歴史や経験から何も学ばない、ということだ」なお話を思い出さずにはいられませんけども。


ということでアメリカに負けず劣らず私たち日本の政治も愉快なことになっていますよね。一体この負の連鎖を断ち切るにはどうしたらいいのでしょうね?
「政治家は有権者の写し鏡である」という民主主義政治の限界あるいは極致について。
がんばれ頭のいい誰か。