今日もパキスタンは通常運行

現代版「世界の火薬庫」なお話。


ハッカニを「テロ組織」指定へ、米パ間の緊張高まる懸念も| ワールド| Reuters
ということでパキスタンとの緊張が高まるかもしれないそうですよ。
えー、しかしまぁぶっちゃけアフガニスタンの戦争が泥沼に陥って以来、むしろ米パ間で緊張が高まらなかったことなんてあったんだろうかという感じではあります。いやない(反語)。タイムズスクウェアのテロ未遂なんか「偶々」成功しなかっただけで、もしあれが成功していたら米軍によるパキスタン国内へ大規模な反攻作戦の一歩手前だったわけで。ビンラディン暗殺のアレもそうでしたけど、むしろ両国はいつだって一触即発一歩手前という感じですよね。


所謂『AfPak』問題について。数年前に流行したこの言葉が証明しているように、結局のところ、アフガニスタンの治安問題はどこまでいってもパキスタンのそれとは切り離せないわけであります。幾らアフガニスタン国内でがんばってみても、パキスタン国境の向こうにある聖域・安全地帯・訓練キャンプをどうにかしない限り、どこまでいっても対処療法にしかならないのだと。故にアフガニスタン問題とパキスタン問題は二つで一つ。二人はプリキュアばりに、二つ合わせてAfPak。まぁソ連アフガニスタン侵攻の時代から続くの伝統的構図ではありますよね。
ということで『オバマの戦争』たるアフガニスタンの解決の為にはどうあってもパキスタンの協力が欠かせないわけですけども、しかしだからといって、パキスタン側としては別にアフガニスタンの安定なんか本音では望んじゃいないのでした。だってもしそこに安定した非タリバンの政権が出来てしまったら、パキスタンは宿敵のインドとアフガニスタンに完全に包囲されてしまう――と、彼らは本気で恐れているから。ついでに、その安全地帯たる連邦部族直轄地域の人たちの一部は反政府活動を行う敵であると同時に、しかし一部は対インド用の大事な非正規戦力でもあるわけです。かといって本質的に弱者でもある彼らはアメリカと完全に手を切るわけにもいかない。
パキスタンアメリカに協力のポーズを見せながら、しかし同時にそうした人たちへも保護も続けていく。アメリカに空爆を認めておいて、一方でその情報をターゲットに流していく。かくしてそのグダグダが何年も何年も続いているのでした。


いやぁまったく解決できる気配がありませんよね。その背景にパキスタンの宿命である「対インド」という不倶戴天の敵が控えている以上どうしようもない気がします。同時にまた、アメリカ側が明らかにパキスタンが元凶だと解っていながらもこうして一線を越えずに我慢較べをやっているのは彼らの協力がどうしても欠かせないというだけでなく、やっぱりそれは彼らが核兵器を持っているからなんだろうなぁと。追い詰めすぎたら核をぶっ放す、という可能性はともかくとしても、政権が崩壊して無政府状態になったら本気でテロリストに核が渡ってしまいそうだし。それは現状で考えられる中でも最悪のシナリオの一つであります。
こうしてアメリカとパキスタンの、奇妙な共犯関係というかプロレスというか馴れ合いというか、お互いに前にも後ろにも進めない構図が完成している。


そんなパキスタンさんちの日常について。やっぱりこの国は現代国際関係における最重要の焦点の一つであるのでしょう。だからこそ全く解決の糸口が見えない。
がんばれ世界平和を願う人たち。