敵失待ちだったロムニーさんの自爆

オバマさんの自爆を待っておきながら先に自分が爆発してたら世話ありませんよね。


先日、六月頭に書いたアメリカ大統領選挙をネタにした日記魔法の切れたオバマくんと、千載一遇のロムニーちゃん - maukitiの日記に対して「今見ると無知蒙昧もいいところな記事ですね」という大変耳の痛いコメントを頂戴いたしまして、まぁ実際その点についてはその通りなので仰る通りでございますと己の無知蒙昧さを反省する以外に特に言うべきこともございません。そもそも予想が難しいアメリカ大統領選挙に軽々しく口を出した時点でフラグ立っているといっては身も蓋もありませんが。
それはまぁさて置くとして、現状の経済危機に際してもうちょっとマトモな選挙戦になるかと思ったらロムニーさんの失言祭りがアレ過ぎて、むしろ予想が外れたのはこっちの方だったなぁと。


実際こうしたマスコミ全体を巻き込んでのあからさまなネガティブキャンペーン合戦はあちらでは毎度毎度の恒例行事ともなっているわけで。だからこそその怒りは蓄積しまくってFOXニュースなんかが大躍進してしまったり、より根源的なマスコミ不信という所にまで行き着いてしまうわけですけど*1
しかし先週のアレはそんなことを吹き飛ばすくらいのインパクトはありましたよね。
ロムニー氏「国民の約半数は政府に依存」、富裕層との非公開会合で 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
「パレスチナは和平に関心ない」、ロムニー氏のさらなる問題発言が明るみに 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
後段のそれについてはまぁ「中東政策=対イスラエル政策」なんて元々ロムニーさんにしろオバマさんにしろ基本的には違いは誤差の範疇なのでどうでも良いといえばどうでもよくて。ついでにいうと最近私たち日本でもニュースの種になりまくっている「対中国」という姿勢も大統領選挙戦での重要なテーマになるとか言われていますけども*2、ぶっちゃけそんな国家の大戦略に関わる議論なんて大して違いなんてあるはずないのでこれもどうでもいいと言えばどうでもいいんですよ。まぁきちんと根幹が定まっていて日本の私たちからすると大変うらやましいお話ではありますけども。
しかし前段についてはぶっちゃけそうは言っていられないレベルの『失言』になっちゃったなぁと。

 問題の動画は、米左派系雑誌マザージョーンズ(Mother Jones)が一部を公開した。ロムニー氏は、非公開で行われた個人資金提供者らとの会合で、米国人の47%は「たとえ何があろうと」民主党大統領候補のバラク・オバマBarack Obama)大統領に投票するだろうと語った。

「(オバマ氏を)支持する47%の人びとがいる。彼らは政府に依存し、自分たちを被害者だと信じ、政府には自分たちのケアをする義務があると信じ、医療保険や食料、住宅、その他なんでも貰う資格があると信じている」

「この人たちは所得税をまったく払っていない。だから、われわれの減税のメッセージも届かない。私が彼らに対し、あなたたちは自己責任をとるべきであり、自分の生活は自分でケアしなければならないと説得できることはないだろう」(ロムニー氏)

ロムニー氏「国民の約半数は政府に依存」、富裕層との非公開会合で 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News]

ていうかそもそも「参加料400万円の非公開会合」っていうのがスゴイ。発言自体もそうですけども、それがまたそんなセレブな「非公開会合」で、というので更に倍率ドンという感じです。
元々経済の建て直しによってそうした『47%』を救おうと主張していたロムニーさんにとっては痛すぎますよね。まぁ結局どちらが本心なのかは本人のみぞ知る世界という所なのでなんとも言えませんけども、しかし口に出したらそんなもの関係ないのであります。敵失を虎視眈々と狙っているべきポジションの人が、見事に自分で地雷を踏んでしまっている構図というか。大変脱力してしまうお話ですけども、歴代の大統領選挙でもここまであからさまで決定的なのは結構珍しい気がします。


それだけの高い参加料ならそりゃロムニーさんの多少のリップサービスしちゃうのも仕方ないよね、と擁護することはできなくはありませんけども。しかし携帯電話や通信機器記録装置その他の発達した現代社会において、市民の総パパラッチ時代なんて揶揄されてから久しいこの時代において、まぁこうした非公開であろうと漏れる時は漏れると想定しておかなかった点は擁護しようがないよなぁと。
その意味では、今回のロムニーさんの件で真に責められる=失点とすべきなのは、そうした「脇の甘さ」という点になるんでしょうか。もうちょっと気をつけておけばよかったのにね。誰かがそんな発言をするのを止めておけば、誰かがもう少しそうした漏洩について気を配っておけば、誰かがもう少し上手くリカバリーしておけば――もしかしたらこんな風にはならなかったかもしれない。
自分が獲物を追い詰めるハンターだと思っていたら、実は自分がハンターに追い詰められていた、というよくある戯画的な風景について。


しかしこうなると近い将来、次の大統領選挙では逆に民主党側の大統領候補の非公開会合がより狙われるようになるんだろうなぁと。ぶっちゃけ多額の個人献金なんて民主党共和党も抱えている構造は一緒なんだから。なんていう不毛な争い。そして第二のウォーターゲートにまでいっちゃったりするんでしょうかね。