「情報が盗まれる」ことの次にやってくるもの

強者であるからこそ非対称戦を挑まれてしまう人たち。


中国通信機器2社は「安全保障上の脅威」、米下院情報委の報告書草案 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
数年来ずっとから言われていたお話でもありますし、規定路線といえばその通りなんですけども、しかし結構思い切った内容だそうで。

 報告書草案は、米国政府のシステム、特に慎重な扱いの必要なシステムには、たとえ部品であろうと華為技術中興通訊の製品を使うべきではなく、また、米政府の慎重な扱いが必要な事業に携わっている請負業者のシステムについても同じだとしている。

 さらに、米国の民間企業に対して、「華為技術中興通訊のいずれかと設備やサービスなどで取引することの長期的なリスクを熟慮するよう強く勧める」と述べた。

 報告書は、調査の結果として「米国の国家安全保障に対する脅威があることから、(米当局は)華為技術中興通訊が関与する買収や乗っ取り、合併を禁じなければならない」とまとめている。

中国通信機器2社は「安全保障上の脅威」、米下院情報委の報告書草案 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

以前の日記でも少し書きましたけど、こうした点を殊更に気にしなくてはいけない、やっぱりアメリカさんち独自の特殊な理由があるんだろうなぁと。
サイバーテロに脅える人たち - maukitiの日記
もちろんそうした点は私たち日本などででも事情はそう変わらないんですけども、しかし他国が直面しているよりも、どうしてもやらなくてはいけない危機感を彼らは抱いている。ぶっちゃけてしまえば「情報を盗まれる」だけならば――もちろんそれはそれで長期的には重大な危機をもたらすのでしょうけど――そこまでの直近の安全保障の問題になることはないのでしょうけども、しかしその次にあるものはより短期的な意味でマジヤバイわけで。


現状のところもっとも手軽にアメリカという国家に致命的なダメージを与えられるだろう、インフラや金融システムを狙ったサイバーテロは、やはり『9・11』以来アメリカ大統領の最重要で最優先の課題となった大規模テロを抑止する上で避けては通れないわけであります。そして、通常兵器でもなく大量破壊兵器でもない、より安価で防御の薄い対抗手段であるサイバー攻撃として。
テロ防衛という要請と、必然的に晒される非対称戦の要請。この辺はやっぱり超大国たるアメリカさんちらしい悩みではあるのでしょう。通常兵器としても、核戦力としても、他者より圧倒的であるからこそ所謂「非対称戦」を挑まれてしまう彼ら。他の部分では勝てないからこそ「強者の相対的に弱い部分を狙おう」というのはまぁ至極当たり前のやり方ではありますよね。そのステージは現在に至りかなりの所までサイバー戦争へと移っている。


実際、中国さん側のポジションから見れば、確かにその戦略は正しいとも言えますよね。
あのバカみたいに世界中に空母を並べているアメリカさんに対して、真っ向から同じ『空母』で挑むなんて非効率過ぎます。費用対効果で言えば金をドブに捨てるようなものです。まぁだからこそ先日の日記バンドワゴンの象徴たらんとするもの - maukitiの日記では「やっぱり遼寧ちゃんは(空母のくせに)近隣諸国向けパフォーマンスだよね」と書いたわけですけど。それはやっぱり核戦力でも同様で、かつてのソ連と同様のレベルにまで高めるというのは無謀すぎます。
翻って、じゃあアメリカに対抗する上でコストパフォーマンスが良いものって何なのか、と考えたらやっぱりそれはサイバー戦ということになるのでしょう。少し前までの反米テロリストさんなんかはそれをテロに見出していたわけですけども、もうそれもかなり費用対効果の悪い方法になりつつあります。ていうかあれが心理的効果として優れていたのは事実ではあるんですけども、単純に被害規模を大きくするだけならやっぱり上記インフラや金融システムを狙った方がずっと効率的なわけです。それは2001年の時でさえそうだったし、2012年の今ではよりそうなっているでしょう。だから「金融システムを攻撃することでアメリカ経済(ドル通貨)を完全に崩壊させる事ができる」なんて言う人も少なくないほどで。


こうした危機意識の差は、やっぱり「情報を盗まれる」と「情報を破壊や混乱させられる」という認識差があるのかなぁと。
日本ではやっぱり前者な人が少なくないんじゃないでしょうか。しかしあちらではそうではないと。そしてその危機意識は、おそらく正しい認識なのでしょう。他が圧倒的だからこそ、真っ先に他国が狙われないような方法で隙を突かれつつある人たち。いやぁ超大国も大変ですよね。非対称戦こわい。


(いつかこちらもおこぼれに与れるように)がんばれアメリカ。