王冠を自らの手でかぶるひと

民主政における致命的な禁じ手。


CNN.co.jp : エジプト大統領が「全権掌握」の布告、抗議デモが激化の様相
大統領権限強化の憲法宣言、司法当局者が撤回要求 エジプト 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで外交面で成果を出している一方で、足元がぐっらぐらなモルシさんであります。まぁ逆にそうした成功こそが自らの権威を確信する要因となってしまったのかもしれませんが。倫理的手段でその地位を得た人が、後にそれとは全く相容れない行為へと走ってしまう。『バトシェバ症候群*1』に陥る人。まぁ期せずして権力を握ってしまった人が陥るあるあるパターンと言ってしまっては身も蓋もありませんけど。
実際、まぁ外交における「ガザ停戦」というわかりやすい成果の一方で、しかしエジプト国内政治――特に経済情勢はまるで好転の気配がないわけで。そこで一発逆転を狙ってしまう気持ちは解らなくはないんですよね。裁判所が強すぎる現状。
ただもちろん逆の見方もあって、個人的に目を引いたのが次の言い回しであります。

Morsi appears to be acting in accord with George Orwell’s dictum: “One does not establish a dictatorship in order to safeguard a revolution; one makes a revolution in order to establish a dictatorship.”
(モルシはジョージ・オーウェルの格言に従っているように見える。「彼は革命を守る為に独裁政権に走るのではなく、独裁政権に至るために革命を用いるのである」)

Egypt's New Pharaoh: President Morsi Grabs for Power

これが完全に公平な見方だとは言いませんけど、しかしあのエジプト選挙のグダグダが証明したように、少なくない世俗派な人たちの抱える不満からするとやはりこうした見方は強いのかなぁと。かくして彼らは再び抗議活動に走っている。
「モルシはムバラクに続く『次のファラオ』になろうとしている」と。


ともあれ、発端である数ヶ月前のムバラクさんを巡るエジプト騒乱の時から思っていましたけど、やっぱりこのエジプトの革命の構図って典型例とされる『フランス革命』を微妙になぞっていてとても面白いなぁと。画期的な革命。その輸出。そしてやってくる第二革命と反革命の嵐。
当時から言われていましたけども、やはりエジプトの抱える闇は深く、故に今尚続く不安定な中東のドミノの震源地となる可能性が高いのはやはりエジプトなのかなぁと。


がんばれエジプト。