そんな政策もあったねといつか笑って話せる日、はまだ遠い

国内的にはそれで許されるのでしょうけども、しかし国際的には当然通用しないよね、というとても悲しいお話。


COP18:日本、支援PRが…思惑外れ質問攻め 「温暖化対策後ろ向き」− 毎日jp(毎日新聞)
あまりにも見事すぎる『民主党政権の――というよりは鳩山さんの――負の遺産』について。そして本人は次の選挙で立候補しないという。いやぁとても気の抜けるお話ですよね。

 しかし、海外メディアからは、京都議定書第2約束期間(13年以降の延長期間)に日本が参加しないことや、達成が不可能な国際公約温室効果ガスを20年に90年比25%削減」の取り扱いについての質問が続いた。

 約400席ある会見場は空席が目立ち、温暖化交渉での日本の存在感の薄さを浮き彫りにした。会見後、日本政府関係者は「日本は資金も出しているし排出量削減努力も進めていくと言っている。なのに温暖化対策に後ろ向きなように見られるのは納得がいかない」と話した。

COP18:日本、支援PRが…思惑外れ質問攻め 「温暖化対策後ろ向き」− 毎日jp(毎日新聞)

納得がいかないそうです。だから「金で尊敬は買えない」のだとあれほど。まるで成長していない。
しかしあれだけ大見得を切って「25%削減します!」と宣言して見せた顛末がご覧の有様じゃあ言い訳のしようもありませんよね。影響力を増そうとしてデカいことを言ってみたものの、見事に失敗してむしろ何もしないよりも影響力が減少するという構図。悲しすぎるオオカミ少年であります。
「まだ25%削減をやるぞー!」「……」
ともあれ、個人的にはまぁそんな目標なんてさっさとトリアージしちゃえばいいのに、とは思うんです。元々その数字は原発を増やすことを前提にあったわけだし。もし原発を減らしたいならば――そしてそちらの方がより重要な政策だと考えているのならば、堂々と取り下げちゃえばいいんですよ。震災を言い訳にすれば最低限の名分は立つでしょうし。逆に「25%削減」こそが大事ならば、それこそ原発をもっと増やせばいい。
それらをせずにどちらも追おうとするものだから、結局二兎とも中途半端になってしまって無駄に敵を増やすことになる。


まぁそもそも論でいけば、こうした温暖化交渉での日本の存在感って元々そこまでないわけじゃなかったんですよね。
「やらないよりはマシ」というレベルの京都議定書にしてもそれなりに日本の努力があったおかげだし、特に石油ショック以降の日本の「脱石油エネルギー」の取り組みは世界でも有数の成功例として挙げられているのです。それはやっぱり原発輸出国に対する期待でもあったわけで。
ちなみに、あの『ガソリン値下げ隊』によって糾弾されまくった日本の高いガソリン税にしても、その使い道はともかくとして、「税金を上げることでガソリン消費を抑える」という省エネ・環境保護の視点からするとやっぱりそれなりに評価されてもいたのです。日本はあのバカみたいな車社会のアメリカと違って、ガソリン消費が抑制されていて素晴らしい、と。


そうした矛盾にまったく気付かずに、「25%削減!」を叫びながら同じ口で「ガソリン値下げ隊!」を叫んでいたあの頃の彼ら。まぁ今から思い返してみると、ホントなんでこれで勝てたのか心底不思議ではありますが。
当然の帰結というか、自業自得というか、かくして現状がご覧のありさまに。
いやまぁ別に、国内的には私たち日本国民が「そんな時代もあったね」と笑って話せる日が来るのを待っていればいいんですよ。しかし、こうした国際社会に向けた約束となるとそうはいかなくなってしまう。そんな「約束を守らなかったこと」をただ見逃してはそのモラルは崩壊していく一方になってしまうから。だからこそ国際社会での公式な発言は重いのだし、そうした暗黙の契約=仁義を通すことこそが、根源的に無政府状態な国際関係を渡っていく上でのソフトパワーの一つ、政治的資源としてあるわけで。
それを守れないとなると、まぁあの北朝鮮さんちと同レベルに見られても仕方ありませんよね。


今更言い放ってしまったことはどうしようもないので、はやく時代よまわれ、と祈っておきます。