フェデラリスト対反フェデラリスト

ぼくたちユーロやめへんで。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36752
ということでフィナンシャルタイムズさんちのドヤ顔であります。「2013年もユーロ崩壊説は失敗する!」なんて。

ギリシャの財政は今もひどく脆い。スペインは幾多の難題に直面している。イタリアとドイツで行われる選挙のせいで、政治家は気が散るかもしれない。銀行・財政同盟を通じてユーロ圏を強化する対策は、針路を逸れてしまう恐れがある。
ユーロ圏諸国が今後、急増する失業者総数を減らすとともに社会不安やユーロ懐疑主義の高まりを回避するために必要な成長を生み出せるかどうかは、全く定かでない。
だが、筆者は少なくとも今から12カ月後も、ユーロ圏はまだ、ギリシャを含めた17カ国のままだと見ている。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/36752

しかし個人的にもこうしたポジションには同意する所でもありまして。これまでの日記でも書いてきましたけど、やっぱりそれはサンクコストの問題等々あって、今更彼らがそのプロジェクトを放棄することはまぁありえないだろうなぁと。
そもそも、正直彼らが脱退した所で未来はまったく見えませんよね?
もちろんユーロ圏の中に居たことこそが経済的な『危機』を招いた要因の一つではあるんでしょうけども、しかし、だからといって経済問題だけではなく政治的側面からも独立独歩でやっていけるのかというとそれもまた別のお話であります。それこそ根本的な欧州連合の存在意義の一つとして、相対的に衰退しつつあるヨーロッパ諸国――一部を除けば日本の都道府県レベルの経済規模しかない国も多い――をどうにかこうにか延命するプロジェクトでもあったわけだし。


EU:ユーロ圏、預金保険統一 14年に機構創設、工程表策定へ− 毎日jp(毎日新聞)
かくしてその争いとしては、脱退がどうこうというよりも、むしろシステム制定をめぐる駆け引きという所に帰結するのでしょう。
ユーロ危機の初期頃のギリシャさんちでも見られた光景ではありますが、実際、超国家的な国際機関というものはその存在そのものが、国家主権や民主主義に対するある種の脅威でもあるわけです。私たち日本でも最近のTPP議論なんかで一部言われているように、そこにコミットするということは必然的に「国家の主権」や「民主主義という正当性」との間に緊張をもたらすものであります。実効性のあるシステムを目指す一方で、しかし国内での民主的過程もきちんと確保しなければならない。しかし大抵の場合それらはトレードオフすることになる。
ベルルスコーニ伊前首相,危機の背後にドイツの影−反欧州鮮明 - Bloomberg
故に、特に議論の分かれる問題では、どうにか実効性のあるシステム構築を目指す人々と、それに『主権と民主主義』という大義名分を掲げて反対する人々で争うことになる。連邦主義者と反連邦主義者たち。まぁいつかの逃亡奴隷をめぐる駆け引きのようですよね。
結局のところ、それこそいつか見た風景のように、妥協とその破綻を繰り返しながら少しずつ前に進むしかないのかなぁとは思います。まぁかつてのアメリカはそれをミスって内戦になっちゃったわけですけど。
そうした前例を考えるとヨーロッパも、これから危機から立ち直ろうともがきながら妥協の束が積み上げていくのかなぁと。『2012年協定』とか『ギリシャ妥協』とか。



がんばれ欧州連合