200年遅れの『明白なる天命』

中国版「マニフェスト・ディスティニー*1


米長官が初明言「日本脅かす、いかなる行為にも反対」日米外相会談+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
尖閣問題で米クリントン長官は誤った発言をするな(1)=中国 2013/01/21(月) 13:53:12 [サーチナ]
米 尖閣諸島を巡り中国に反論 NHKニュース
そういえば最近ではもう日常風景となった感がある――日本の頭を飛び越えての――東シナ海南シナ海を巡る中国さんちとアメリカさんちの丁々発止であります。

  • アメリカ「中国はそこに手を出すべきではない」
    • 日本「そうそうアメリカさんもっと言ってやってくださいよー」
  • 中国「うるせー何でお前にそんなこと言われなくちゃいけないんじゃボケェ」
    • 日本「ちょっとアメリカさんこんなこと言ってますよー」
  • アメリカ「貴様らは日本と話し合うべきだ」
    • 日本「そうだそうだ話し合えー……え、な、何を?」

だいたいそんなかんじー。




しかしまぁ中国さんちがそう言いたくなる気持ち自体は解らなくはないんですよね。だって200年前にはアメリカもまったく似たようなことを言っていたし、それはむしろ国際社会におけるスタンダードな態度だったんだから。1813年にジョン・オサリヴァンさんが唱えたアメリカ合衆国の西方拡大(侵略)及び、「こちらも手を出さないのでそちらも手を出すべきではない」というモンロー主義について。その領土の拡張は議論の余地のない明白なる天命であり、他国がそのことに口を出すことは慎むべきである、なんて。

テキサスは今やわれわれのものである
テキサスは、われわれの人口を西へ西へと押し流している一般法則の必然的貫徹の結果として、連邦に吸収されたのである。それ(一般法則)と、今後百年以内に2億5000万人(それ以上ではないにせよ)という巨大な数に膨れあがる運命にあるわが人口の増加率との関係はあまりにも明らかであり、この大陸の占拠についての神の明白なる意図について疑いを差し挟む余地はない。
おそらくカリフォルニアも、メキシコのような国に見られる、遠隔の地方を中心地域に曖昧な形で従属させている緩やかな結合から離れることになろう。
(カリフォルニアの)境界地域には既にアングロサクソンが足を踏み入れている。・・・その人口はたちまちカリフォルニアを実際に占拠することになるだろうが、それに対してメキシコが支配を夢見ても空しいことであろう。彼らは必ずや独立するであろう。

http://homepage2.nifty.com/murasaki-miyako/source/manifestdestiny.html

今見るとなんともアレな人たちですよね。アメリカこわい。そりゃ今でもメキシコの少なくない人たちから盗人扱いされるのも頷ける話ではあります。
――そして2013年の現在、上記アメリカさんとまったく同じ顔で中国さんはこう言うのです。

東・南シナ海は今やわれわれのものである。
東・南シナ海は、われわれの人口を東へ東へと押し流している一般法則の必然的貫徹の結果として、中華人民共和国に吸収されたのである。それ(一般法則)と、今後百年以内に15億人(それ以上ではないにせよ)という巨大な数に膨れあがる運命にあるわが人口の増加率との関係はあまりにも明らかであり、この海域の占拠についての党の明白なる意図について疑いを差し挟む余地はない。
おそらく沖縄も、日本のような国に見られる、遠隔の地方を中心地域に曖昧な形で従属させている緩やかな結合から離れることになろう。
(沖縄の)境界海域には既に我が人民の艦船が足を踏み入れている。・・・その人口はたちまち沖縄を実際に占拠することになるだろうが、それに対して日本が支配を夢見ても空しいことであろう。彼らは必ずや独立するであろう。

まぁ200年ばかり言うのが遅かったよね。そうすれば特に違和感のない発言だったのに。
ちなみにこの構図においてあんまり笑えないのは、実は我らが日本は100年前に似たようなことをやっていた点であります。その時から既に欧米の人たちからすると「時代遅れの帝国主義」だったので、それよりも更に100年遅れてやってきた中国さんちは最早化石レベルと言ってもいいのかもしれません。時代の波に乗り切れなかった私たちと、同じ轍を踏もうとしている彼ら。
かくして彼らは「欧米人が勝手に決めたルールなどには従いたくない!」と叫ぶのです。かつて私たちが通った道そのまんまに。


200年遅れの彼ら中国さんちの『明白なる天命』について。いやぁ悲しいお話であると同時に、私たちから見ると多分に複雑な気持ちになってしまい、思わず顔をうずめてゴロゴロしたくなってしまう光景だよなぁと。