特色のありすぎる社会主義

サイバー冷戦――あるいは熱戦?


「中国軍がハッキングに関与」、米セキュリティ企業が報告 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
米紙、ハッカー攻撃は中国人民解放軍部隊が関与濃厚と報道 - MSN産経ニュース
米 中国のサイバー攻撃を懸念 NHKニュース
ということで、先日も書いた中国さんちの国家戦略の一つとしてのハッキング祭りについて、NYTのセキュリティ担当だった企業『MANDIANT』が報告書*1を公開し、再び大盛り上がりであります。

 【ニューヨーク=黒沢潤】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は18日、米国の企業や政府機関に対するハッカー攻撃に、中国人民解放軍の組織が関与している可能性が濃厚であると報じた。

 セキュリティー会社の報告書などを基に報じたところによると、この組織は上海郊外にビルを構える中国人民解放軍の部隊「61398」。同紙はこのビルの写真や、所在地の詳細な地図を掲載した上で、「90%以上が同ビル周辺を発信源とする」と断言する専門家のコメントも実名で伝えた。

米紙、ハッカー攻撃は中国人民解放軍部隊が関与濃厚と報道 - MSN産経ニュース

61398部隊」とかなにそれこわい。
まぁもちろん、そうやってどうにか情報を盗んででも奪い取る――グレーどころかほぼ完全にブラックなやり方で――こと自体は、中国だけではなくほとんど何処の国・大企業でも多かれ少なかれやってきたことではあるのでしょう。故に、その点からすれば、現在の中国さんだけが「特別に」悪どいことをやっているとは言えないわけです。ある意味で時代の寵児とも言えるかもしれない人びと。
――ただ、そんなことを事実上の国家戦略の中心に据えてやっているのは、まぁ歴史上ほとんど類を見ないレアケースでもあるわけで。中国の「特色のありすぎる」社会主義。『泥棒国家』と言ってしまっては身も蓋もありませんが。
そういえばこうしたお話を見ていて思い出すのは、某civ4の「スパイ経済」であります。強力なハンデを持つAIの成長速度を逆手に採ったピーキーな戦略*2でしたが、まさか現実世界でもまんまなことをやっている国が、こうして明確に指摘される事態が起きるなんて現実ってすごいなぁと感心してしまいます。


ともあれ、まぁこちらも以前の日記「情報が盗まれる」ことの次にやってくるもの - maukitiの日記で書いたお話ではありますが、やはりこの問題がシャレにならないのはその更に先のステージがあるからですよね。

オバマ大統領は先週行った一般教書演説の中でも、他国がアメリカの送電や航空管制のシステムなどへのサイバー攻撃を行うとともに企業の情報も盗んでいると指摘し対応を強化する姿勢を示しており、この問題が米中間の対立を生む可能性も指摘されています。

米 中国のサイバー攻撃を懸念 NHKニュース

むしろアメリカが国家として引けない状況になっているのは、情報漏洩云々というよりも、こういう面もあるからですよね。サイバー攻撃によって経済やインフラに致命的なダメージを与えることができるからこそ。もう飛行機をビルに突っ込ませるなんて時代遅れなわけです。それよりも証券取引所発電所や航空管制そのものをサイバー攻撃した方がより効果的なわけだし。



もちろんそれは私たちも決して他人事ではない。
そんな我らが日本はというと「猫の首輪ガー」「自作PCなのでウィルス」とやっていたのでした。いやぁもう笑うしかないですよね。でももしかしたら無防備宣言なのでセーフかもしれない。

*1:ネットでも読めるっぽい(PDF)http://intelreport.mandiant.com/Mandiant_APT1_Report.pdf

*2:国家の技術発展のほぼ全てを他国から盗み取ることに依存する