イースター「だけ」祝うのは多文化主義に則っているのか否か

現代版「ナントの勅令」的な何か。


イスラム教2大祭日を法定祝日に : ウィーン発 『コンフィデンシャル』
へーという感じであります。多文化主義に揺れるドイツさんちらしいお話。

 独週刊誌シュピーゲル(電子版)によると、ドイツ国内に約400万人がいるイスラム教徒の代表、独イスラム中央評議会のアイマン・マツェク会長が、「イスラム教の祭日をドイツ連邦の法定休日としてほしい」と要望しているという。同会長は、ウルフ独前大統領が在任中、「イスラム教はドイツ社会に属する」と発言したことを想起させ、「イスラム教の2大祝日、ラマダン明けの祭り(イード・アル・ファトル)と犠牲祭(イード・アル・アドバー)の2日が法定祝日となれば、政府が推進する統合政策の大きな成果と評価されるだろう」とアピールしている。

イスラム教2大祭日を法定祝日に : ウィーン発 『コンフィデンシャル』

まぁ言っていることは解らなくはありませんよね。キリストのイースター祭だけ祝って、イスラムの祭りを祝ってくれないのはおかしいのではないか。
夜空を赤く染める炎、ドイツでイースター・ファイアー 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News
おそらくイスラムな人たちが仰る通り、それを認めればより統合された社会としての「多文化主義」へと進むのは概ね間違っていないでしょう。まぁ口で言うのは簡単ですけども、だからといってそれが受け入れられるのかというとやっぱり難しいのだろうなぁと。しかし最早――ドイツ国内で400万人を有する――彼らの声は無視できないレベルに達しつつある。
人口さえ、声さえ大きければ、それを変えることは許されるのか、と言えばまぁ民主主義政治に生きる私たちにとっては留保しつつもYESとしか言い様がありませんよね。むしろそれなりに賛成があるのに変えない方がおかしい。
現代版「ナントの勅令」的な何か。
私たち日本にしても法定の『祭日』こそありませんが、『祝日』としては宮中祭祀を踏襲したものが結構あるわけだし。じゃあここでもしキリスト教イスラム教な人たちが「私たちの教義における重要な祝日も休日にすべきだろう」と言われると困ったことになってしまいそうです。いやでもそれは最早宗教的意義は薄れているから宗教的行事とは言えないけれども、確かに来歴としてはその通りだし。いや、でも、うーん。


キリスト教という伝統と、政教分離という価値観と、そんな前者二つからくるイスラム教への潜在的な不信感、この問題って彼らヨーロッパの多くで見られるトリレンマを見事に示唆しているなぁと。
キリスト教だけ贔屓してずるい!」「確かにその通りだけど、え、えぇぇぇ……?」
多文化主義だからこそ、それでも彼らは認めなければならないのだろうか?
――個人的には、だったらもういっそのことイースターも廃止にしちゃおうぜ、という方向もある気がしますけど。


皆さんはいかがお考えでしょうか。