アメリカ合衆国の外交政策と自由貿易の不適切な関係

決して切り離せない彼らの両輪。外交と貿易。


TPP日米事前協議の合意内容 NHKニュース
ということで事前協議も終わったそうで。お互いに「例外」を決めて終わり。うーん、まぁ、「自由貿易らしくない!」と言ってしまってはそれまでではありますけど、アメリカさんちの日常風景ではありますよね。ほとんど常にアメリカの外交交渉の一環にあった自由貿易の『制限』について。
歴代大統領たちがほぼその全てが自由貿易の素晴らしさを訴える一方で、しかし彼らは常に国内の利害関係者たちに配慮する為に――「自由貿易に反しているではないか!」と言われないように気を使いながら――こうして「例外」を設けてきたし、そしてそれを外交の取引材料としてきたわけです。
冷戦時代から、対テロ戦争時代たる現代まで。例えば軍事協力の引き換えに彼らはそれ(米国市場)を提供する。いやぁ自由貿易ってすばらしいなぁ。


民主・細野氏「TPP、日本はもうカードない」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
まぁその意味で、これは反論の為の反論であるのでしょうからマジレスするのもアレなんですけども「カード使い切った」って本気で言っているのかなぁと。一般の人が「もうカードがない!」なんて如何にもナイーブにそれを言うならばともかく、政治家――それも与党だった人が言うのはちょっとアレです。
ただ品目別のカードだけの勝負だなんてアメリカ相手であるわけない。経済は経済、外交は外交、だなんてあるわけがないのに。それこそ私たち日本だって「糸を売って縄を買おう*1」と考えた事だってあったわけだし。あの頃から構図としては何も変わっていないのです。
それは単純に日米の力関係というよりは、アメリカにとっては、相手が誰であろうが貿易とはずっとそういうものでありました。貿易とは外交交渉の一環である。独立戦争南北戦争、両世界大戦でのアメリカの歴史を考えるとそういうドクトリンになるのも頷ける話ではあります。特にアメリカという国は歴史上ほとんど常に『貿易』を操ることで、他国との距離感を図ってきた。故に現代でもそれは受け継がれている。
世界における『自由貿易』の第一人者であると同時に、世界における(外交政策の一手段として)『自由貿易』使い分けの第一人者たち。


ということで個人的に気になるのは「密約」とまでは言いませんが、安倍さんはこの事前協議の妥結以外に一体何を手に入れ、何を手放したのかという点かなぁと。まぁ色々と思い浮かびますよね、安全保障や沖縄基地やエネルギー等々。