金持ちと貧乏人ばかりが流動するヨーロッパ

統一されていなかったユーロ。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37594
かなり面白いお話。
「ウサギとカメ」の亀になることを選んだドイツの甘美な復讐 - Market Hack
ドイツが低く抑えられていた点については、この辺のドイツの国家戦略とも関係しているのかなぁと。ユーロバブルには乗らなかったドイツさんちの慧眼。

 実際、この見方は筆者の個人的な経験とも符合する。1999年時点でもベルリンのレストランやタクシーはブリュッセルやパリのそれより安かったが、その差は今では極端に大きくなっているのだ。不思議なことに、この価格のギャップは貿易財にも影響を及ぼしている。国境をまたいでいる欧州小売り市場は効率的に機能していないのである。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37594

へーという感じではありますよね。結局のところ、こうした『不均衡』はその内部で流動性がないことの証明でもあるわけで。彼らには自由に移動をする権利はあっても、それを行使できるかどうかはまた別問題だったのでした。
自由って、せつなくないですか? - maukitiの日記
うちの日記でも少し書いたりしましたけども、あの「統一された」「自由な往来の」「ヨーロッパ市民」たる欧州連合の人たちは、しかしそんな素晴らしき建前とは裏腹に、ギリシャの人がドイツで、ドイツの人がギリシャで、なんて風に自由にその住処を変えるなんてこと大多数の『普通の』人びとにとってはハードルが高すぎたのです。
それは私たち「国内の往来自由の権利」を持つ日本人だって同じことですよね。例えば今東京に住んでいる人に「あなたは沖縄でも北海道でも好きな所に行って生活しても良いんだよ」と言われても困ってしまいます。やろうとすれば当然お金が掛かるし、そもそも向こうで仕事が見つかるかどうかさえ解らない。ヨーロッパだって実情は同じなんですよ。むしろ言語や文化など、ハードルはもっと高い。


かくして「往来自由なヨーロッパ」の中で移動できるのは、一部の能力のある金持ちたち上層な人びとと、そして失うものなど何も無い下層な人びとばかりになってしまう。
全ての道はドイツに通ず - maukitiの日記
生活保護など社会保障を求めて流れ込む貧しい人びと。彼らはまさに失うものが少ないからこそ、そうした冒険に出ることができる。
金持ちと貧乏人ばかりが流動するヨーロッパ。最近のヨーロッパで見られる諸問題が大抵そういう点ばかりなのは、こういう背景があるからなのだろうなぁと。まぁ『グローバル化』や『自由化』の当然の帰結ではありますけど。


金持ちたちは逃げ出し、貧乏人たちは逃げ込む。
そして地元に取り残される大多数の中間層たち。


がんばれヨーロッパ市民たち。