まるでいつかどこかで見た風景。
トルコ首相「忍耐にも限度」、反政府デモ10日目も強硬姿勢崩さず 写真11枚 国際ニュース：AFPBB News
ということで話題のエルドアンさんも外遊から帰ってきたので何か動くかなぁとｗｋｔｋしながら見守っていたトルコさんちではありますが、まぁ何か特別なイベントもなく粛々と処理されてしまいそうな雰囲気であります。
エルドアン首相はこの日、アンカラでの演説に先立ち、南部の港市メルシン（Mersin）とその近くのアダナ（Adana）を訪問し、熱狂的な支持者らに対し、来年の地方選挙でAKPに投票することでデモ参加者に応えよと激励。「投票所での民主的な手段をもって、彼らに教訓を与えてほしい」と語った。
トルコ首相「忍耐にも限度」、反政府デモ10日目も強硬姿勢崩さず 写真11枚 国際ニュース：AFPBB News
エルドアンさんのこの身も蓋もない発言から解るように、そもそも、トルコ国内――更には都市部たるイスタンブール市内においてさえも、こうしたデモに参加するような世俗派は決して多数派なんかではないわけであります。まぁ逆説的に、イスタンブールにおける極一部の例外である世俗的な地区――バーやカフェや書店などが多い――を再開発しようとした為に、こうして世俗派の人々が一気に立ち上がったという構図でもあるんですけど。しかしやっぱりそれはイスタンブールにおける多数派の声というわけでは決してないし、全体から見ればそうした「堕落した」地区の再開発を賛成する声は少なくない。
なので「極一部の過激な不満分子の暴走」という政府側の説明は、かなりポジショントークであるのは間違いありませんが、しかし同時にそれなりに的を射た説明でもあるわけで。
何万人集めようが結局彼らは決して多数派ではなく、だからおそらく選挙でも勝てない。
催涙ガス噴射された赤ドレス女性、トルコ反政府デモのシンボルに| ワールド| Reuters
トルコ反政府デモで男性が撃たれ死亡、全土の死者2人に 現地報道 写真1枚 国際ニュース：AFPBB News
機動隊がタクシム広場のデモ隊を強制排除、トルコ 写真11枚 国際ニュース：AFPBB News
もちろん一方で、政権側の対応がかなり強引な方法なのは事実であるし、同時にこうしたデモ騒動は海外での報道とは裏腹に、トルコ国内では（その政権側の圧力によって）まったく報道されても居ないわけで。
つまるところ、現状の政権はマスコミによる監視などはまったく期待できない状況であり、ついでに野党もまったく弱体化していて、まさに独裁政権に限りなく近いところにあるというのはやっぱりそこまで間違っていない。
こうした二つの面から見ると、今回のトルコの騒動はその意味で単純な色分けの出来ない、なんというか生煮えの状況ではあるよなぁと。
世俗主義を訴えるデモ側は必ずしもトルコ世論における多数派というわけではないし、しかし政権側に独裁的な対応がないわけでもない。
そして更に言えば、こうした構図はトルコにおいて決して珍しい状況でも全然ないわけで。それこそ2003年の政権交代前の時代には、ポジションを入れ替えて同じことをやっていたわけであります。抗議活動をするイスラム保守派の民衆と、弾圧する世俗派の政権。なのでトルコにおける日常風景といえばその通りなのでした。
かつて弾圧され投獄された彼が、権力者となって自身されたことと同じことをやっているというのは、まぁなんというかとても悲喜劇ではありますけど。
いやぁ、なんというか、中途半端な『春』ですよね。
トルコ首相、デモ隊と12日会談へ ：日本経済新聞
さて置き、強硬姿勢を打ち出す一方で、デモ側と会見もするそうで。
【イスタンブール＝花房良祐】トルコのアルンチ副首相は10日、首都アンカラでの閣議後の記者会見で、エルドアン首相が自身に抗議するデモ隊の関係者と12日に会談すると話した。誰と会談するかは明らかにしなかったが、ロイター通信はイスタンブール中心部の「ゲジ公園」の再開発計画に反対し、抗議デモを実施してきたグループと会うと報じた。公園の再開発計画の是非などについて協議するもようだ。
ゲジ公園の再開発を巡っては環境保護を主張する団体が５月末に抗議を開始。警官隊の強制排除をきっかけに首相の強権的な政治手法に抗議するデモに発展した。ただ首相は公園の再開発を強行する考えをこれまで何度も表明しており、会談してもデモが沈静化するかは不透明だ。
トルコ首相、デモ隊と12日会談へ ：日本経済新聞
どう見てもガス抜きです本当にありがとうございました。
でもこれってどこかで見た風景だなぁと思ったら、まるで我らが前首相野田さんのデモとの会見を思い出す風景だよなぁと。オチまで似てしまいそうなどこまでいっても中途半端なトルコさんちのデモ。
そういえば『あじさい革命』ってどうなったんでしたっけ？
