三度目の「あのアフガニスタンとは何だったのか?」という諦観へ

オバマの戦争』の終わり。



米がタリバンとの協議再開へ、対外事務所の開設受け 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
アフガニスタン部隊に治安権限移譲、NATO軍から 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということでNATOからの治安権限委譲にタリバンと交渉再開と、いよいよ『オバマの戦争』たるアフガニスタンのそれも本格的に店仕舞いであります。

【6月19日 AFP】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバン(Taliban)は18日、これまで敵対してきたハミド・カルザイ(Hamid Karzai)政権や米国との交渉窓口として大使館の役目を果たす対外連絡事務所を、カタールの首都ドーハ(Doha)に開設した。これを受けて米当局は同日、同国の代表団がタリバンとの協議を数日中に開始すると発表した。これが実現すれば、12年に及ぶアフガニスタンでの戦争の和平交渉による終結に向けた第一歩となる。

米がタリバンとの協議再開へ、対外事務所の開設受け 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ元々(アルカイダを庇った為に)アフガニスタンタリバン政権をぶっ潰し10年以上関わってきたわけですけども、結局こうしてタリバンと和解(?)オチ。果たしてアメリカは勝ったのか負けたのか。
米−タリバン協議、数日延期か アフガン反発で再調整 - MSN産経ニュース
一方でこのアメリカとタリバンの頭ごなしの交渉再開にアフガニスタン側は反発してもいるそうで。まぁそりゃそうですよね、特に2006年以降からパキスタン領内を経由したタリバンの勢力はうなぎ上りなわけで。そしてタリバンによるアフガニスタン政府への攻撃はずっと続いている。そんな中で米国がタリバンを認めてしまったら以下略。


それでもオバマさんとしては、泥沼となってしまいつつあるアフガニスタン撤退というカレンダーは出来るだけ動かしたくないのでしょう。
イラク戦争は「バカな」ブッシュさんが始めたからともかく、しかしアフガニスタンの方は「反テロ戦争」という枠組みでオバマさんはむしろ積極的に関わってきたわけで。そしてその一環がビンラディンさんの殺害であるし、無人機の大量投入でもある。
――まぁその結果が、現状のアフガニスタンの内戦一歩手前の混乱状況であるわけですけど。
そして彼は自身の戦争を今のうちにどうにかこうにか無理矢理にでも終わらせようとしている。まぁそれは彼なりのケジメでもあるだろうし、同時にやっぱり大きな地政学上の変化でもあるわけで。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38044
中東からいよいよ撤退しつつあるアメリカ。その要因は、あの両戦争による途方もない負担という教訓であるし、そしてシェール革命によるエネルギー安全保障の変化でもあるし、そしておそらくは反米闘争の最前線が変化しつつあることもあったりするのでしょう。特にアルカイダの皆さんは最近の主戦場はもっぱら北アフリカの方なわけで。
直接にアメリカに被害がないのならば、勝手に他所で殺しあうならば、別に放っておけばいいじゃないかというオバマさんのとても現実的な判断。
結局、現状のシリアへのオバマさんの傍観っぷりもこうしたアフガニスタンの教訓と無関係ではないのでしょう。もう一度あんな事になるのは絶対にゴメンだと。まぁ(建前上は)欧州が主導して介入するだけしてリビアの放置プレイのように、介入するだけして後の混乱を放置するならまだマシなんでしょうけども、しかしそれは――ヨーロッパには許されても――超大国たるアメリカには許されないだろうから。
まぁこの辺を鑑みると、やっぱりオバマさんのやる気のなさも理解できなくはありませんよね。




かくしていつか見たような、痛々しく不毛な教訓を後に残して終わりつつあるアフガニスタン戦争。
いやぁアフガニスタンの戦争って一体何だったんでしょうね?(19世紀イギリス、1980年代のソ連に続いて三度目)