民主党爆発跡地に残される最後の希望、あるいは絶望

私たちが夢見た二大政党制の果て。



参院選、自民圧勝 衆参ねじれ解消 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで参議院選挙も無事終わったそうで。自民党の大勝。アベノミクスへの期待もあるのでしょうけど、ぶっちゃけ安倍さんが大きなミスもなくこの七ヶ月ちょっとを無事に乗り切ったことが大きいのだろうなぁと。自民党を含め大きな問題を起こさなかったから評価できる、というのはまぁ悲しくなる評価基準ではありますけど。
朝日新聞デジタル:参院選投票率52.61% 戦後3番目の低さ - 政治
なのでまぁ自民党勝利に低投票率まで、予想通りすぎて別に何の驚きもありませんよね。投票率52.61%。投票にいくまでもない、と考える人はやっぱり多かったと。
東京の中心で「敵は本能寺にあり!」とさけぶ - maukitiの日記
そして中身を見れば、上記以前の日記でも書いたように、やっぱり構図としては――一人区では自民党が盤石すぎて勝負にならないので――結局「与党対野党」というよりはむしろ、「民主党対それ以外の野党」という構図になってしまったと。かつて二大政党の一翼として期待された民主党のなれの果て。
『そこ』に群がる野党たち。彼らは口では自民党を攻撃しつつも、しかしその視線が見据えていたのは徹頭徹尾民主党だった。
いかにして民主党との違いを出すか。いかにして彼らを蹴落とすか。だから彼らそれ以外の野党たちは民主党との違いを際だたせるために、自民党ではなく民主党を中心点として、より右側に寄ったり左側に寄ったりして、その違いを強調していたのです。こうして民主党の大爆発によって、その爆心点を空白にした上で、その左右に新たな勢力を生み出した。
その爆発を右側に避けたのがみんなや維新のまずまずの成果であったし、そして逆に民主党よりも更に左に避けたことで回避に成功したのが共産党やあの山本太郎さん(彼は言っていることこそある種のテンプレだったにも関わらずその知名度を利用した演出が上手かった)だったわけで。逆にそんな民主党の爆発点から上手く距離をとれないまま右往左往した結果回避できずに巻き添えを食らってしまったのが、社民や生活やみどりだったのでしょう。戦略の致命的失敗であります。
自民党を攻撃しながら、しかしその実いかにして民主党との違いを出せるか、という選挙戦。
見事な『敵本主義』の風景。

次の二大政党はだぁれ?

さて置き本題。
ということで今後の長期的な焦点としては、民主党衆院選に続き参院選でも見事に負けてしまったことで私たちが夢見た二大政党制は半ばリセット状態となり、次の政権交代を狙うのは一体どこになるのか、という点でしょう。
このまま自民党が再び数十年も勝ち続けるなんてあるわけがない。私たちが選んだ小選挙区*1=二大政党制ってそういうことなんですよ。是非はともかくとして、必ず劇的な選挙結果が起きるように出来ている。大きな地滑り的勝利は必ずまた起きる。
あの劇的な勝利によって生まれた民主党政権の失敗が究極敵には私たち有権者の責任であったように、もし今回の大勝に伴う自民党政権が失敗すれば、やっぱりそれは私たち有権者の責任なのです。その(失敗の)繰り返しによって、政治家だけではなく、有権者も政治意識というものを成長させることになる。痛い目に遭わなければ学習しない私たちを前提とした小選挙区というシステム。


自民党は必ず、近い将来、政権を去る。それは別に予言ですらない、明白な将来であります。
しかし問題なのはそこではなく、その時、前回よりもマシな政権交代をするだけの準備の整った新しい二大政党を担う野党を育てられているのだろうか、という点こそが問題であるのです。
――もしそれに失敗していれば、おそらく次もまた同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。そしてそれはやっぱり政治家の責任と言うだけでなく、それを選んだ私たち有権者自身の責任でもある。


僕はその一点において、今回の自民党政権は出来るだけマトモで、且つ長生きして欲しいなあと思う次第であります。また前回のように「早過ぎたせいで腐っていた」なんてことになってしまわないように。
もちろん今回の自民党の大勝に不満がある人もいるでしょう。それはあって当然の感想であります。しかし逆説的にその不満が証明しているのは、民主党よりも「少しだけ」マシであった自民党、という現状でもあるのです。だからこそ、こうして自民党参院選でも勝つことで、両院の安定多数を手にすることになった(それでも憲法改正ラインに微妙に届かない辺りバランス取れているなぁとも思うんですがその辺はさて置き)。二大政党制ってそういうものなんですよ。一方が劣化すれば、まず間違いなくそれに釣られるようにもう一方も劣化する。
だって結局、選挙で勝つためには相手よりも少しだけマシであればいいのだから。もしこれからの自民党が少しでもマシであればあるほど、次にやってくる新しい与党はそれよりも少しマシなものになるだろうから。


果たしてそれが正のスパイラルとなるのか、それとも負のスパイラルとなるのか。
乞うご期待であります。

*1:実際には比例代表制でもあるわけですけど、まぁその辺は割愛。