作戦名は『(国際社会の)体裁の力』でいいんじゃないかな

化学兵器使用禁止という体裁を守る為の限定攻撃。


米、シリア軍事介入の「準備完了」 政権転覆の意図は否定 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
コラム:米国がシリアに軍事介入する本当の理由| Reuters
ということで米英仏辺りが旗振り役となってシリア軍事介入論が一気に盛り上がっているそうで。周辺アラブ諸国も概ね歓迎しているし、一方で真っ向から反対のロシアを筆頭に、国連やドイツやオランダも消極的反対にまわっている。しかしロシアさんが反対する限り安全保障理事会での決議は不可能に近い。
化学兵器は撃たれ続ける、されど止まらず - maukitiの日記
化学兵器が使われた直後辺りの日記で「どうせまた何もしないんでしょうね」という日記を書いたものの、見事に予想が外れてしまったというオチ。いやぁごめんなさいするしかありません。ごめんなさい。あまりにも複雑なシリア内戦への介入リスクを考えると、まさかこんな風に事態が展開するとは思ってもみませんでした。
――で、そうしたリスクをどうするのかなぁと思っていたら、どうやら「シリア内戦」と「化学兵器使用」という問題を切り離すことで突破するおつもりのようで。そうか、そういうやり方もあるのか、と思わず膝を叩いてしまいました。

しかし、米国が攻撃の準備をしていようと、問題の核心はシリアではない。ケリー長官が語ったように、アサド政権が化学兵器を使用して攻撃したことは、シリアの内戦という枠を超えたことを意味する。軍事攻撃の目的は内戦の局面を変えようとしたり、終結させようとしたりすることではない。むしろ、つぶされた面子と国際基準への明らかな違反に対して報復することだ。

コラム:米国がシリアに軍事介入する本当の理由| Reuters

シリア内戦は関係なく、シリアの化学兵器使用による国際社会の『レッドライン』を超えたことに関しての懲罰的な攻撃である、と。
まぁその意味で、アサドさんと同様に、やっぱり攻撃する側もやっぱりその最低限守らねばならない『体裁』を維持する所にまで追い詰められてしまったというのが身も蓋もない構図ではあるのかなぁと。『レッドライン』を越えたことでついに動き出さなければいけないところにまで追い詰められてしまった人びと。チキンレースの終わり。


かくしてそんな軍事的な国際ルールにおける(今も尚)事実上の守護者であるアメリカさんの出番となるのでした。まぁ毎度の事ながら、アメリカさんちも最終決断を押し付けられて大変よね、という気持ちには少しなります。で、オバマさんは決断しようとしている。しばしば指摘されるお話ではあるんですが、幾らノーベル平和賞を貰ったオバマさんと言えども、しかしその前に米国大統領であるということをやっぱりごく当然に優先させるんですよね。
つまり、別にシリア国民が何万人死のうと知ったことではないものの、しかし一方でアメリカの『威信』に関わることとなれば――基本的に彼は多くの歴代大統領と同様かあるいはそれ以上に――まさに一歩も引くつもりもないということを態度で示す。
ただまぁそうしたオバマさんの態度を私たち日本がどれだけ批判できるのかというとやっぱり以下略なわけですけど。私たちは平和の為にシリアをどうすればいいのか?



「正しい戦争だからセーフ」と考えたブッシュさんと、「戦争じゃないからセーフ」と考えているオバマさん - maukitiの日記
さて置き、しかしこの内戦にかかわるのではなく「工場や保管庫への限定攻撃」というやり方ってそれってどう見てもあのオバマさんの「戦争じゃないからセーフだ」という基本概念を証明しているようで、なんだかくすっとしてしまいますよね。その意味では上記日記を書いたんだからこの展開は予想して然るべきだったとやはり反省するしかありませんが。
「シリア介入は内戦に関わるのではなく、化学兵器使用に対する懲罰だからセーフだ!」というオバマさん。いやぁ彼らしい論理的帰結ですよね。