そして反日へ

それは積極的に選択されているというよりは、消極的選択としてそれしかない故に。


内乱陰謀容疑で韓国議員の逮捕へ 金正日総書記を「委員長同志」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
そういえば韓国さんちは今大騒動だそうで。

 韓国メディアによると、李氏は北朝鮮に呼応する地下組織を結成、今年5月にソウル市内で開いた革命のための秘密集会で配下のメンバーに、朝鮮半島有事に備えて武器を収集し、石油施設や火薬工場、通信施設などを襲撃するよう指示した疑いが持たれている。北朝鮮の直接指示があったかどうかは「現在、捜査中」(捜査当局)という。
 報道では、捜査当局は秘密集会の模様を収録した音声データを入手。それによると、革命組織のメンバーは李氏に対し、北朝鮮金日成(イルソン)主席を指す「首領(スリョン)」を省略して「首(ス)」と呼んでいた。李氏は金正日(ジョンイル)総書記について「委員長同志」の呼称を付け、集会は「北朝鮮用語だらけだった」とされる。

内乱陰謀容疑で韓国議員の逮捕へ 金正日総書記を「委員長同志」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

もちろん本人や党は否定していますけども、報道が正しいとすれば、まさか現役の国会議員がコレだなんて。いやぁ日本でも陰謀論的にかなり近いことは昔から言われていたりもするんですが、しかしさすが最前線の韓国さんちはレベルが違いますよね。
ともあれ、でもまぁあちらの国では昔からある構図ではありますよね。そもそもそこには(同じ民族の片割れである)北朝鮮とどうやって付き合えばいいのか? という韓国にとって『国家観』そのものに関する根本的議論があるわけで。制裁政策や太陽政策などなど、そこではやっぱり右に左に意見が大きく食い違っていたりする。
あまりにも重要すぎる国家の問題。
単なる敵であったり、単純に同胞であったりしたのならば話は簡単だった。しかし、これまで多くの人が北朝鮮に殺され拉致されているものの、やっぱり韓国にとって北朝鮮は敵だと割り切れるものでは決してないのです。韓国という国家が――南北が統一されない限り――永遠に抱き続けるであろうジレンマ。もちろん解決したいけれどもしかしそれを真面目に考えようとすると、国内の致命的な混乱を招きかねない。





で、そんな彼らの埋めようの無いジレンマのはけ口がどこに向かうのかというと、御馴染みの『反日』であるんですよね。
『独島』に背負わされた建国神話 - maukitiの日記
この辺は以前書いたお話でもあるんですが、国家分断・民族分断という悲劇を背負わされた彼らはそのまま単純に自らの国家神話を信じるわけにはいかないのです。だって未だに分裂したままでありそれは物語の途上であり完成していないのだから。完全に肯定することも、かといって完全に否定することもできない。だからこそ、かつての軍事政権時代はともかくとして民主主義政権となってからはそこで代替として、概ね国民の意見を一つに集約可能な「対日本」という感情を登場させるしかなくなっている。
よくネトウヨな人たちが「韓国は日本を見なければいいのに」とか言われますけども、しかし彼らにとってはそうしないわけにはいかないのです。だってそれは唯一彼らが国家内で分裂することなく協力できる数少ない――というかほとんど唯一のテーマであるわけだから。ついでに言うとその日本からの独立という神話はその後の南北分裂に「汚されていない」ものでもある。
もちろんそこには過去の歴史に対する憎悪があるのは間違いないでしょうけども、しかしそれと同じくらい、彼らには反日を燃やし続けなければいけない理由があるのです。対北朝鮮政策を巡る、決定的な国内分裂を避ける為の方策。だからこそ現代の民主的選挙で選ばれた韓国大統領は、右も左も結局は『反日』という方法に頼らざるを得なくなる。


まぁ私たち日本人からするといい迷惑ではありますが、上記理由から個人的には仕方のないことではないかなぁとは思うんですよね。その現在進行形の国家分裂という根本的問題から目を逸らす為に反日に頼らざるを得ない状況というのは理解できる。しかしそれは同時にまた、じゃあ日本が本当に真摯に過去の歴史を(彼らが納得する形で)謝罪したとしてもこの問題は解決しないとも言えることになる。それこそ北朝鮮との分断状況が続く限り、何かしらのスケープゴートは必要なのだから。
この辺の問題は最近の韓国の親中国シフトとも関連しているのかもしれません。あれから60年以上経ったものの、結果として半島の分裂は何一つ進展しないまま固定化されている、という状況に対する韓国の反発が現状打破を考えさせる要因ともなっているんじゃないかと。
その意味で、当然私たち日本の多数意見としては半島統一なんてされずに南北が分断されたままの現状維持こそが最も最適解だと考えているので、そこで恨まれるのも無理はないよなぁと生暖かい気持ちに。


まぁ今後も、究極的解決は南北統一が来るまで不可能だと思われるので、適切な距離をもって付き合っていけばよろしいのではないでしょうか。