最後から二番目の真実

『知る権利』が、というよりはむしろ『マスコミ』の落日。


特定秘密保護法案反対 メディアはなぜ敗北したのか〈週刊朝日〉 (dot.) - Yahoo!ニュース
先日の日記ではカットしたお話が概ね書かれていたのであちらを見ていただくとして、こちらでは適当に。まぁぶっちゃけ今回の騒動の解説としてはそういうところに落ち着くのかなぁと。マスコミに対する不信感によって、結局彼らの反対運動が大きな流れになることはなかった、という悲しいオチ。与野党間のパワーバランスと同時に、元来マスコミが持っていたパワーが低下した構図。

 それほどの悪法なのに、衆院通過は確実視されている状況だ。なぜ、メディアは安倍政権の“暴走”を食い止められなかったのか。田原氏はここ10年間での変化を物語るエピソードを語った。

「(呼びかけ人の)鳥越俊太郎さんが『(特定秘密保護法案反対の)呼びかけ人になってほしい』と頼んだら、10名以上(のキャスター)が『全く賛成なのだけれども名前は出さないでほしい』と言った。02年の個人情報保護法案のときは『とんでもない法案だ』と全キャスターがそろったのに」

 及び腰になっているのは現場記者も五十歩百歩。

石破茂幹事長に『(秘密指定の)チェック機能が全くないことをどう思っているのか』と聞いたら、『初めてそういう質問を受けた』と言っていた」(田原氏)

 法案の不備を問い質(ただ)す記者が減り、権力監視が疎(おろそ)かになっている状況について先の田勢氏はこう分析した。

「新聞もテレビも、いかに首相はじめ重要閣僚を自社に呼ぶのかを考えている結果がこうなったのではないか。自らも反省をしながら思っています」

特定秘密保護法案反対 メディアはなぜ敗北したのか〈週刊朝日〉 (dot.) - Yahoo!ニュース

自己批判する彼ら。でも西山事件以来何も成長していないとか禁句です。
この辺のお話については散々書いてきたので割愛しますけども、でもまぁぶっちゃけここ10年間の変化といえば、一般の人々からの彼らメディアの人たちに対する信頼感の低下、というお話なのだろうなぁとやっぱり思うんですよね。それは従来あった右側からだけでなくて(特に3・11以来では)左側からさえも同様で、最早マスコミの言っていることは結局彼ら自身の利益に従っているだけなのだ、という諦観に近いような生暖かい目。
それこそ現代日本における最も大きな「既得権益」の一つが彼らマスコミ業界であることは、多くの人にとって共通認識にすらなっているわけで。再販制度然り、軽減税率然り。
そんな中で彼らのジャーナリストの使命が、あるいは国民の『知る権利』が侵されているのだという――それ自体は概ね正論に近い――ことを言っても結局そこに共感してくれるような大きな流れを生み出せなかった。


選挙をエンターテインメントとして消費することの末路 - maukitiの日記
まぁこの辺は彼ら自身の手法の限界でもあるとも言えるのでしょう。選挙をはじめとした重要な日本の政治問題、だけではなくて経済問題やら社会問題を、それはもう素晴らしき一過性エンターテインメントとして「報道」してきたわけで。だって仕方ないよね、そうしないと視聴率や売り上げが稼げないから。
そして今回も――彼らが主張する分には「今度こそ」本当に危機だったかもしれないけれど――その報道を見た大多数の私たちはああいつものアレね、という冷淡な反応しか返すことはなかった。


かくしてもう彼らの「オオカミがきたぞー!」は致命的に信憑性を失ってしまった。より端的に言ってしまえば、愛想をつかれはじめている彼ら。
まぁ正直、自業自得かなぁと。