マンデラの後にマンデラなし、という悲劇

彼が特別であること自体が、『打倒』だけではない『和解』の難しさを象徴する、という悲しい構図。


マンデラ元大統領死去、「虹の国」南アフリカの父 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
マンデラ氏はなぜ特別な存在なのか? 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
そういえばマンデラさんがお亡くなりになったそうで。

【12月6日 AFP】ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)氏は、いったいなぜ、これほどまでに特別な存在とされるのだろうか。

 反アパルトヘイト(人種隔離政策)運動により27年間の獄中生活を強いられても、恨みをほとんど持たずに出所した。長年続いた人種間の憎悪が残した傷を癒やすには「和解」が重要だと説き続けた。

 1995年のラグビーワールドカップ勝戦では、白人が中心の南アフリカ代表チームのウエアを着て登場し、全国民が一体となって応援するよう呼び掛けた。大統領に就任しても、権力にしがみつくことなく、1期務めただけで退任した。

マンデラ氏はなぜ特別な存在なのか? 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ実際彼って武力闘争を支持しそれを実行していた時代もあったんですよね。不当な暴力に対抗するには、暴力しかない。その意味では、現在では限りなく『テロリスト』のレッテルを貼られてしまいそうな、私たちも見慣れた・お馴染みの抵抗(解放)運動ではあったのです。
しかし、「特別たる」彼はその後の政治の立て直し、和解において大きな存在感を発揮した。実際、当時の南アフリカにおける解放運動ってマンデラさんが属していたANC以外にもやっぱり諸勢力が乱立していて、黒人と白人の対立は――まさに現在私たちが見慣れているように――抗議運動の連鎖が果てしなく続いてしまう可能性も低くなかったわけです。しかしマンデラさんは見事にそれを抑えて見せた。彼の栄光が現在でも尚特別に輝いているのはそういう理由があるからなんですよね。
皮肉なことに、その「特別さ」こそが、ただの平凡な人たちには到底実現できないということを逆説的に証明してしまっている。彼のように人種や宗教間の暴力の連鎖を抑止することが出来ない。


まさに昨今の『アラブの春』などでの、独裁者を打倒した「その後」の展開を見ると、まぁ悲しくなるほどに和解は上手くいっていないわけで。あるいはオバマさんなんかも、初の黒人大統領ということでその役割を期待されたものの、やっぱり現状はご覧の有様であります。こうした現状を振り返ると、まぁやっぱり彼の業績を称えることが、そのまま現状の世界中にある「和解の失敗」を肯定してしまうのは悲劇的なお話だよなぁと。


がんばれマンデラさんの後継者たち。