『WHITE ALBUM 2』クリアした

現実世界でツンデレが負けるのがよくわかる物語。




ということで元々評判が良かったこと自体は聞いていたものの、イマイチ踏ん切りがつかなかったこの作品ではありますが、アニメを見たら思った以上に面白かったのでFF14ちゃんやりながらのプレイ開始。ちなみに前作はエロゲ人生の最初期にプレイした作品のひとつなのでかなり思い入れがあったりします。強かったよねぇ由綺の竜巻コマンドでのCDばらまき(QOHです)、あと由綺理奈二人の空中投げが鬼性能だったり(QOHです)、二人でリナクラ出すと演出変わったり(QOHです)。一人のヒロインクリアしちゃうと、以降のほかのヒロインをクリアしようとする度に心が痛くなる現状のプレイスタイルを形成した大事な作品であります。だから僕は自立したがんばる女の子が好きです。後腐れないからな!
ともあれ、まぁとっても面白かったです。そりゃ評判いいよなぁと納得してしまう程度には。
個人的には雪菜派でまぁやっぱり結局彼女の物語だったのかなぁと。小木曽雪菜の、小木曽雪菜による、小木曽雪菜のための物語。でも一番好きなのは麻里さんです。麻里さんあざといよ麻里さん。この作品の唯一の清涼剤。しかし全編通して、本気で苦悩する=寝れない、という描写が多すぎて「つらいわー悩み過ぎて睡眠時間ゼロでつらいわー」というミサワ感が出てしまってものすごく生暖かい気持ちになってしまう点だけつらかったです。
作品自体はもう大分前の作品だし、感想や研究もだいぶ進んでいると思うので今更な話題が多いかもしれませんけども、そこは笑って流していただければ。




以下ネタバレと興味ない人はごめんなさいの続きを読む。


















三角関係の物語としては、ほこ×たてっ!「『ツンデレ』と『ねだるな勝ち取れ』が戦ったらどうなるの?」というあたりのお話。出来るだけリアルにツンデレを描写しようとすると、こんな感じになるんじゃないかと思います。ツンデレは現実には勝てない理由がよく解るお話。ちょっとツンデレさんが抱える後半追い込み型は現実の恋愛に際して致命的やすぎませんかねぇ。デレが遅すぎたよね。
でもデレるのが遅かったからこそ、あの歌が生まれ運命の歯車の輪が今回り始めた(ペルソナ3)ので、デレるのが早かったらこの物語は存在しないわけで。
そりゃ北原君も『届かない恋』詩っちゃいますわ。



以下各キャラ雑感

  • 杉浦小春
    • トライアングルラブが特異点崩壊してる。一番春希くんと付き合っちゃダメなタイプ。両方落ちてくタイプや。でも登場ヒロインの中では最も人間としては平均感ですごくいい。春希と絡まなければ。
  • 和泉千晶
    • ミイラ取りがミイラになっちゃう、物語上の都合で生まれたやられキャラ。でもなんだかんだでこの二人のエンドは一番最終的に開き直ってていいと思います。ちなみに彼女のノーマルエンドが余韻としてはすごい好きです。済し崩しに自然復活しようとする春希と雪菜に「ダメだこいつら……」感がハンパない。
    • ちなみにこのルートで輝く「恋愛犯罪の時効は何年ですかぁ?」はこのゲームの根幹そのものを揺るがす爆弾発言。それ言ったらアカンこのゲーム終わっちゃう。
  • 風岡麻理
    • 麻里さんかわいいよ麻里さん。なんだかんだで雪菜と「自分が」直接対峙せずにきちんと春希のみで清算させるっていう、唯一のマトモなルート。さすが2○歳!
    • ちなみに何があざといって佐和子さんとの絡みが狙い過ぎであざとい。でもそれがいい。ていうか各ヒロインでの個別視点て大抵ドロドロで救われないお話ばっかなんだけど、佐和子さんだけものすごくコメディタッチで、まるで別ゲーやってる感じです。次点で近いのはかずさと母親パート。本文中でも言及されるけど、両ヒロイン本人が似ているとか云々というよりも、このヒロインとそのサブキャラとの絡み、という演出での類似性が大きい。
  • 北原春希
    • この物語を形成するためだけに生まれたザ・主人公。だから彼がクソなのは物語上仕方ないよね。だって彼がもっと恋愛巧者だったら、もしくは諦めが良かったら、あるいは切り捨てることのできる人間だったら全て何もはじまらないんだから。かくして必然の展開として、彼は物語の都合によって人格形成された。
    • あ、ちなみに嫌味なく場を仕切ることのできる人間は、まぁ大抵モテますのでそこだけは他のハーレム作品と比べて説得力があるとも言えなくもない。
  • 冬馬かずさ
    • 世界に出ていった人間が、実は最も内面世界が狭かった、というアンバランスさ。アンバランスなkissをしてとか歌えばいいんじゃないかな。春希(あと母親)さえ居れば他に何もいらないと断言できちゃうネジが一本ぶっ飛んだ人間。
    • 上記でも書いたように、その癖典型的ツンデレなので、デレが遅すぎて勝負もできなかったっていう。もうちょっとデレが下手くそで春希君に伝えればよかったのにね。そんなところで表現者の才能発揮しなくても。そうすれば『届かない恋』じゃなくて『届きそうな恋』になったかもしれないのにね。
  • 小木曽雪菜
    • こわい。ちなみに『歌を忘れた偶像』で彼女に惚れました。嫉妬されて薄笑いとか、この作品屈指のエピソードです。キャラとして天使と悪魔の両立という点で、まぁよくできてたなぁと感心する他ありません。
    • 物語の始点となった告白については、まぁ贔屓目に見れば、正々堂々戦おうとしたようにも見えなくはなくない。ただ逆に見ると、どうせかずさが告白できないと読んだ上で告白したとも言えるわけで。どちらにしても結果として不戦勝になり、その後何年も後を引いて青春時代を棒に振る。
    • でも本編は概ね『時の魔法』で完結したように、「小木曽雪菜の、小木曽雪菜による、小木曽雪菜のための物語」。曖昧な両想いに割り込んだ罪と罰、そして救済されるお話。結局ラストで自身で吐露するように一番頑張り、そして報われるのが彼女だっていうオチ。まぁあまりにも苦労させられすぎたよね。
  • 親友ズ
    • あまりにも長年身内としてかかわり過ぎたせいで、結局三人の問題解決には何もできなかった二人。結局そんな歴史のない新規勢力(他ヒロインと朋ちん)か、当事者であるかずさが出てこない限りこの問題を収束できなかった、というのは心底皮肉な話だよなぁと。いやまぁいい友人ではあるんですけどね?


ということで、まぁすごく面白い作品だったのでお暇な方は是非プレイすればいいんじゃないでしょうか。ほら、ちょうどホワイトアルバムの季節だし。