なぜ中国の民主化に対して、今も尚「悲観論」と同じくらい「楽観論」も溢れているの?

A「それは現状認識と言うよりは(悲観論のそれと同じくらい楽観論だって)自身の願望であるから」


英首相、人権に踏み込まず 中国との経済協力優先 - 47NEWS(よんななニュース)
そういえば少し前にまたイギリスさんちが、人権問題を無視して中国さんちの経済的魅力に転んじゃったそうで。
米国の首長が中国詣で:私を選んで! いや、私を!:JBpress(日本ビジネスプレス)
中国と世界、そして日本 | ふるまい よしこ | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
でもまぁアメリカにしろドイツにしろフランスにしろ、そんな経済的魅力からの『中国詣で』に対して、まぁあちらの人権団体な人たちは批判していますけども、そんなものなのでしょうね。特に彼らは地理的に中国が遠いわけだし。故にいつだってその経済的利益が優先される。
でもまぁそんなのヨーロッパのような遠く離れた国だけが特別にそうじゃない、アメリカだって中国のお隣の日本だってそれこそ真横の台湾だって、場所の遠近を問わず、更に言えばあの1930年代のナチスの時だってそうだったように歴史を観てもほとんど常に、私たち人類は目先の利益を優先しようとする。理由なんて後からついてくるのです。
将来に期待できるから投資をするのではなく、投資をしているからこそ将来に期待しようとするのです。
――世界でもっと巨大な市場を抱える現代中国さんちならば、そうしないわけにはいかない。
故にかつての冷戦時代に宿敵だった東側陣営=旧ソ連では見られなかった光景が、21世紀の「相互に」経済で結び付けられた現代世界ではこうしてあるんですよね。それは善悪の問題ですらない。私たち人類の古今東西問わず通用する、基本的原則のひとつ。
利益最優先の帰結と、そしてそんな自らの決断の正当化に走る人々。中国は大丈夫だ!

 【北京、ロンドン共同】中国の李克強首相は2日、訪中したキャメロン英首相と北京で会談後、共同記者会見で「英国側は中国の領土主権を尊重すると言及した」と述べた。中国中央テレビによると、キャメロン氏は「チベットは中国の一部。独立を支持しない」と表明。同氏は経済協力を優先し、チベットを含む中国の人権問題に踏み込まなかったとみられる。

英首相、人権に踏み込まず 中国との経済協力優先 - 47NEWS(よんななニュース)

やっぱり見慣れた風景ではありますが、ただこの辺の構図というのは親中な対中国ポジションについての、とても解りやすい解説ではありますよね。つまり、いつか中国も民主的でルールに従うだろうと期待する彼らは別に「中国に操られて」いるわけでは決してないんですよ。むしろ彼らは自発的に「中国は大丈夫だ、たぶん、きっと、おそらく!」と信じたがっているだけ。
このような自身の行動を正当化しようとする善意溢れた人々が存在するからこそ、世界には「人権弾圧が著しい中国」への悲観論と同じくらい「中国は民主化が進んでいる!」なんて楽観論も溢れることになるのです。



まぁ私たち日本でもいわゆるネトウヨな人たちが「親中」な意見に対して、しばしば、政治家や企業家な人たちへカネを貰ってるだのハニトラだのと色々な批判的な言葉が述べられていたりしますけども、けどそれって現状認識としてまぁそこまで正しい訳じゃありませんよね。
――もちろんそうした中国から直接に利益供与され宣伝を行っている人たちが、絶対に、居ないというわけではなくて。
ただ、結局のところそうした人たちは限りなく少数派で、むしろほとんどの親中とされる人たちは、自発的にそう言っていることをきちんと理解しなければいけないよなぁと。彼らは別に誰かに頼まれたわけではなくて、ただただ自分の行為が正当であると信じたいだけなのです。中国は順調に民主化している以上、私たちの行為は正しいのだ、なんて。
彼らは別にだまされているわけじゃなくて、そう信じたいだけなんですよ。そうすれば自らの良心が多少なりとも慰められるから。




この辺は中国悲観論を唱える人にも、あるいは楽観論を唱える人にもある、限りなく両義的なお話なんですよね。
人には自分が見たいものが見える。
――もっと言えば、見たいものを見ようと努力し、そしてその決断を正当化しようとさえする。
それはどちらも現実のみをただただ観察した結果ではなくて、世界よ私の行為と信条に沿った形であれ、と素朴に願っているにすぎないのです。


かくして彼らは叫ぶのです「中国が悪魔(天使)であるはずがない!」なんて。
それは事実がそうであるわけじゃなくて、ましてや中国のプロパガンダを担っているわけでもなくて、ただただ自身の利益追求の行為が間違ってないはずだと願うからこそ。ただただ彼らは自らの良心のために中国が「良い国」であると信じたがっている善意溢れる人々なのです。


みなさんはいかがお考えでしょうか?