言論の自由も政治的自由もない彼らの、たったひとつのさえたやり方

自由の少ない彼らに許される貴重な自由の発露。


なぜ中国社会はすぐパニックに陥るのか 国民を信用せず情報をひた隠しにする政府(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)
中国さんちの愉快なお話。なぜ彼らはすぐに買い占め騒動に走るのか。政治がわるい。おわり。でもまぁ理解できないお話ではありませんよね。

 パニックの背景に必ず存在するのは経済学で言う情報の非対称性であり、ときにはデマも少なくない。

 中国の官制メディアはグッドニュースを優先的に流すが、バッドニュース、特に政府にとって都合の悪いニュースをほとんど流さない。2011年、浙江省温州市で高速鉄道追突事故が起きたとき、鉄道省のスポークスマンは生存者が見つかったことを受けて「(事故は)まるで奇跡のようだ」とポジティヴな表現で総括した。

なぜ中国社会はすぐパニックに陥るのか 国民を信用せず情報をひた隠しにする政府(1/3) | JBpress(日本ビジネスプレス)

それこそ日本の一般市民たる私たちですら『3・11』の時および福島原発の事故の際にはそうした行動に走ったわけで。あの時もそうだったように、つまりそうした買占めって多分に自衛手段でもあるんですよね。公的機関などを信頼できなくなったとき、自身というよりはむしろ自身の家族を守るためにこそ、彼らは衝動的に何か自分にできることを探そうとする。
――問題なのは、その衝動の「行く先」「はけ口」なんですよ。それこそが日本にあって中国にないものの決定的な差でもある。
私たち日本であれば、もちろん自発的な経済活動として買い占めることができる一方で、実際に当時の政権に対してやったようにそんな「無能」にしか見えない政府に対して声を上げることだって当然できるわけで。「なぜ自分たちを守ってくれないのか」「なぜウソをつこうとするのか」なんて。国民を守るべき国家への、当然の要求として。
ところが中国さんちではそうではない。
だって彼らに許されている『自由』というモノに、政治的自由というものは存在しないし、そしてそもそも政府の宣伝ととは裏腹に自分たちが中国政府から保護されているなんて本心では信じていないのだから。現代中国さんちの二重思考。故に彼らは日本よりもずっと大きな衝動で、唯一許された自衛手段に走るのです。政府から守ってもらえるなんて信じられないし、そんな政府を批判することも許されないから。
政治的自由も言論の自由もないけれど、一方でしかし彼らは利益や快楽を追求する社会的自由だけは世界でもトップレベルで『開放』されてもいるからこそ。
政治参加の権利と、知る権利が極限まで制限されている一方で、商業化と世俗化が限りなく開放された現代中国という世界。故に彼らは流言飛語に簡単に流されるし、そして買い占めという自衛行為に簡単に走るのです。信頼できる情報源というものが公的には存在しないからこそ、彼らは親類や隣近所の口コミこそを信じてしまう。


言論の自由も政治的自由もない彼らの、たったひとつのさえたやり方。
だから個人的には、(どちらも最低限は保証されているはずの)日本で起きるそれについてはとても生暖かい気持ちになる一方で、しかし中国さんちのそれは単純にバカにすることはできないんですよね。もちろん日本のそれだって福島の原発事故の情報隠しなどで露呈したように、決してほめられたものではないことも事実でしょう。しかしだからといって、それが中国と「同じレベル」なんて絶対に言えるわけがない。
しばしば日本でも欧米のそれと比較して自嘲の対象とされる『報道の自由度ランキング*1』では日本は例年30〜50位前後ではありますが、そんなの中国さんちなんて今年は179か国中の173位で、毎年毎年最下位トップ10に入る勢いですよ。ちなみに北朝鮮さんちは177位で、つまり私たちが報道で見る北朝鮮の現状と中国さんちの現状と言うのはほとんど大差ないわけで。いやぁ50歩100歩ですよね。まさに、私たちが考える日本政府の「ヒドさ」とは、それこそ次元が違うレベルであります。
だから安易に買占めに走る中国の彼らをバカだと批判するのは簡単ではありますが、しかし信頼できる情報の少なさと、そして自身の選択肢のなさを考えれば当然の帰結であるとも思うんですよね。彼らには買占め以外にできることが、そもそも、ない。




中国国民の魂にやすらぎがありますように。