もしかして「現代中国」では?

リアル『国民の知る権利』などない社会。



そういえば案の定というべきか、あれだけ盛り上がった『特定秘密保護法』もこうして一段落終わってしまうと、年が明けついでに靖国なんちゃらで大騒ぎとあって嵐が去ったとばかりにまぁ人々の話題から消え去ってしまいましたよね。いやまぁだからこそ、こんな風にむしろ好き勝手に書きまくっているわけなんですけど。あんな議論が盛り上がってる時に書いたらお客さんがたくさん来て困ってしまいそうだったので。
個人的にまぁ賛成ではあったんですが、もちろんそこに懸念がないわけではなかったわけで。それでもこうした「終わった後」の風景を見ると、なんというか、やっぱり政治問題をただの一過性のブームとして扱うってロクでもないよなぁと思うしかありません。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131230/crm13123012010011-n1.htm
で、ブロガーが自粛する世界ですって。

 「知る権利」をめぐり論議を呼んだ特定秘密保護法。重大な機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する内容だが、「ブログの執筆者も処罰対象になり得る」との国会答弁をきっかけに、「言論の自由は終わった」などとして「断筆宣言」するブロガーが現れている。ツイッターフェイスブックが人気を呼ぶ中、ブログは今、どんな社会的役割を担っているのか。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131230/crm13123012010011-n1.htm

でもまぁこうしたディストピアまんまな風景を日本の将来に懸念する人たちについて、ただの「行きすぎた被害妄想」と切り捨てることもあんまりできないんですよね。
――だってまさにそんな風景はお隣の中国さんちで既に実現しているのだから。

  • 憲法が規定する基本的原則に反するもの」
  • 「国家の統一、主権、領土保全に危害を加えるもの」
  • 「国家機密を漏洩し、国家の安全に危害を加え、あるいは国家の名誉と利益を損なうもの」
  • 「民族的怨恨、民族的蔑視を扇動し、民族の団結を破棄するもの」
  • 「民族の風俗・習慣を侵害するもの」
  • 邪教・迷信を宣揚するもの」
  • 「デマを流布し、社会秩序を攪乱し、社会の安定を破壊するもの」

彼らは日常風景として、ごく当たり前に、これらの言説について違法として良くて削除や公開停止、悪ければ逮捕にまであっさりと踏み切っている。
メディアコントロールこそが中国共産党の生命線 - maukitiの日記
先日の日記でも書きましたけども、彼らはそうやって「無知の無知=知らないことを知らない」状況を作り出す。まさに特定秘密保護法で懸念されている風景が、現実にある現代中国におけるネット規制の風景。特に最後なんてものすごく応用が利く文言で、中国さんちで大騒ぎになったSARSの時には「その流行が中国から始まっている」という事実を書いたら逮捕というまぁものの見事にアレなことをやっていたわけであります。多分この基準で行けばうちの日記もアウトなんだろうなぁ。……断筆を考えるべきでしょうか?
この構図で心底生暖かい気持ちになってしまうのは、特にこうしたネット監視の技術やノウハウについて、彼ら中国政府の中の人はそれを西側企業による最新技術の手助けを受けながら実行している点にあるんですよね。あまりにも魅力的な中国市場と引き換えに、企業たちはそれを中国政府に差し出す。あの『金盾』のように、私たちが普段利用しているネットの最新技術によって維持運用される情報統制された現代中国のネット世界。
いやぁほんとどっかのフィクションに出てくるようなディストピアな世界であります。


先日の日記でも書きましたけど、しかし今回の議論でほとんど「日本を中国のような国にしてはならない!」という声があんまり聞こえなかった点こそが、まぁやっぱり中国さんちへの配慮という他ないよなぁと。怒るというか、飽きれるというか、むしろ感心してしまいますよね。