特に理由のない盗聴は今後も続く

だっていつか使うかもしれないから。


NSA改革案、オバマ米大統領が発表 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
そういえば各国指導者への盗聴というだけでなく『同盟国』への盗聴までやっていたぜ的な事実がスノーデンさんに暴露された結果、あちらでは大騒動となっていたNSAさんちに対するオバマさんの改革案が出たそうで。

1月18日 AFP】バラク・オバマBarack Obama米大統領は17日、米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)による大規模な通話・通信記録の収集を大幅に縮小する方針を発表した。一方、テロリストたちから米国を守るため、大量のデータ収集は継続する必要があると主張した。

オバマ大統領はまた、米国に友好的な各国の指導者を通信傍受の対象から外すほか、米政府のデータマイニングの対象に加えられていた外国人の保護についても、新たな対策案を提示した。NSAの監視活動を暴露したことで米当局に訴追されているエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が公表した一連の情報により、NSAの監視活動に対しては怒りの声が上がっており、今回の大統領の発表は、そうした反感を抑えることを目的としたものだ。

NSA改革案、オバマ米大統領が発表 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

うーん、でもまぁ、やっぱり何かが変わることを期待できるのかというとそんなことありませんよね。といっても、別にそれはオバマさんのやる気がどうとか、改革案の実効性がどうこうとかそういう問題ですらなくて。


少なくとも国家安全保障を担う彼らのような人たちがまるでハイエナのように他国の機密情報を漁ろうとするのは、まぁどこの国であろうと(できるものなら)やっているわけで。そもそも、まず大前提として認識しなければいけないのは、彼らは単純に犯罪捜査などの為に物理的・電子的盗聴をやっているわけではない、という点にあるわけで。
――つまり、国内的に一般の人びとがイメージする「当局による盗聴」というのは事実が起きた後の事後対処としてそれを行う一方で、彼らの国外に対するそれは根本的にまず「事実を起こさせないように」情報を集めるのが仕事であります。すばらしき事前対処。
もちろんそんなことを自国市民にやれば大問題でしょう。しばしば――それこそお隣の中国さんちでは日常風景であるように――独裁国家などでは国内の治安維持を目的として行われるそれは、一般に市民の基本的人権保護を重視する民主国家でも例外として国家安全保障に限る形で容認されている。他国のそれについては、ぶっちゃけてしまえば知ったこっちゃないという形で。
アメリカという――意志も能力もある――超大国がそれを手放すわけがない。こんなのは「やるかやらないか」ではなくて「できるかできないか」でしかないのです。古くも今も東も西も、そしておそらくこの先も永遠に、世界はそんな牧歌的ではない。故にアメリカのNSAは、それを無視するだけのある種超越した権限を付与されている。こうした基本的な構図の下に、ではNSAの改革によって何かが変わるのかというと、まぁそんなことまったくありえませんよね。


ちなみに、むしろ今回の暴露騒動でダメージを受けたのは、情報を盗聴していた事実そのものではなくて「どのようにして」「どこから」情報を盗聴していたかをバラされたという身も蓋もない事実の方なんですよね。昔からいわれているように、所謂『情報戦』で重要なのは、相手に知られていることを知られないようにすることであるわけで。そこに気づかれていないからこそ、相手の動きをコントロールすることができる。
その意味で、統制された情報収集、なんてのは矛盾しているんですよね。彼らは何か特別な理由がありきで情報収集しているわけじゃないんだから。とりあえず情報を収集して、そこから何ができるかを考えているだけ。


いやまぁそれがロクでもないといってしまえば頷くしかないんですけど。