おまえはそこでかわいてゆけ

マリファナを吸いたい奴は勝手にしたらいい」という自由。


CNN.co.jp : 「マリフアナにアルコール以上の危険ない」 オバマ大統領
ということで先日も少し書いたマリファナのお話、なので今更感はやっぱりあるんですがしかしこの問題に際してのオバマさんのぶっちゃけたコメントは色々と良くも悪くも象徴的だよなぁと感心したので、以下適当に。

さらに、「個々の消費者に与える影響という点では」アルコールより危険は小さいとも指摘。ただ、「勧めようとは思わないし、自分の娘たちには悪い考えであり時間の無駄で、あまり健康的ではないと言っている」と釘を刺した。

CNN.co.jp : 「マリフアナにアルコール以上の危険ない」 オバマ大統領

「愚かな自傷行為だが、(周りに止めてくれる人もいない)吸いたい奴は勝手にすればいい」というあまりにもあんまりなお言葉。
まぁ素晴らしくリバタリアンなポジションなお話ではありますよね。自らの家族がそれをやる場合には制止するが、しかし他者の選択の権利までは妨害しない。日がな一日ケムリを吸ってボーっとしてるのは、幾らそれが人生の無駄遣いであろうがそれはそいつの勝手である、なんて。まぁある種冷酷な物言いであるというのはその通りなのでしょう。
このオバマさんの発言を見てしみじみ思ったのは――その是非はともかくとして――こうした『ダメな奴』への割り切りってヨーロッパでのそれとはまた違った形でのアメリカ的な自由主義、あるいはアメリカンドリームな価値観のもう一つの側面であるよなぁと。


マリフアナ合法化は格差を拡大させる | アメリカ | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
先日の日記でも書いたように、僕としてはその危険性云々はともかくとして、しかしやっぱりこれで「より」大きなダメージを受けるのは所謂貧困層な皆さんの方ではないかと思う所なので、このオバマさんの発言はある意味でアメリカンドリームな社会に沿った発言でもあるよなぁと納得する所ではあるんですよね。
身も蓋もない言い方をすれば、資本主義社会における『不平等』って駆動輪の一つでもあるわけで。結果に不平等があるからこそ努力する。少数の勝者や成功者がその報酬を得ることができるのは、大多数の敗者たちが存在しているからこそなのです。むしろそうした敗者たちが母数として多ければ多いほど、その子数たる勝者たちの栄光はよりまぶしく輝くことになる。そんなアメリカンドリームと、そしてその裏面にある格差問題って結局そこに行き着くわけで。その格差が激しければ激しいほど、更にその競争は激しくなり、全体としての効率は上がっていく。
つまり、頑張る人は頑張ればいい、諦めた人は勝手にしてくれ、という社会でもある。
まぁ先進国の中でもトップクラスに格差の大きいアメリカ社会を語るものとして「せいぜい2割の人間が必死に努力をし、残りの8割はその日さえ良ければそれでいい人間たちだ」なんてのはよく言われるお話ではあります。そしておそらく、マリファナはそんな残りの8割の人たちにこそ、福音となる。ご利用は(私たち日本人も大好きな)自己責任で。まぁ日本ではそんな自由もないくせに自己責任論ばかり先行するので、その辺はなんだかなぁと思う所ではあるんですけど。
ともあれ、マリファナ認可の流れもおそらくこうしたアメリカ社会の潮流と無関係ではないのだろうなぁと。



別に父権主義を擁護するつもりもありませんけどもオバマさんのコメントを見ると、マリファナの自由化ってそんな身も蓋もない冷酷さも垣間見えてしまいます。
某『うしおととら』風に言えば「(マリファナごときに躓く)おまえはそこでかわいてゆけ」なんて。