もはや(冷)戦後ではない

(冷)戦後レジーム終わっちゃう。


時事ドットコム:ウクライナに監視団派遣へ=クリミアは除外か−OSCE
そういえばウクライナさんちではOSCE=『欧州安全保障協力機構』から国際監視団が派遣されたそうで。一体彼らは何の安全を保証し協力しようというのか。

 【ベルリン時事】欧州安保協力機構(OSCE)は21日、ウクライナに国際監視団を派遣することを決めた。これまで反対してきたロシアが同意したのを受けた措置で、24時間以内に先遣隊を送る。
 OSCEは「監視団は東部と南部、西部に展開する」と説明し、ロシアが編入を決めたクリミア半島が含まれるかは明確にしていない。AFP通信によると、ロシアのOSCE担当大使は「クリミアはロシアの一部というのが地政学的な現実」と述べ、派遣対象にならないと主張。一方、米代表部は「国際的に認められたウクライナの領土が対象で、クリミアを含む」と指摘しており、見解が食い違っている。
 監視団は治安状況に関する情報を集めるとともに、人権侵害を監視する。当初は100人規模で、状況次第で最大400人を追加。派遣期間は6カ月で、必要に応じてさらに6カ月延長する。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014032200074

チェチェンなんかでは徹底的に反対してきたロシアさんちが今回は賛成している辺り、まぁそういうことなのでしょうね。少なくともプーチンさんはその論理で押し通せると思っている。いやまぁ、結局は彼らは本格的な武力衝突を防ぐためのプチプチ程度の緩衝材にしか思われていない、あるいは欧米側の行動したことを担保するとりあえずのポーズなんて言うと、身も蓋もないんですけど。
時事ドットコム:ロシア、G8追放も=ウクライナ情勢で警告−英首相
「G8、もはや存在せず」=独首相、ウクライナ危機で - WSJ
ともあれ、このポスト冷戦世界における欧露間の基本的関係を定義した一つでもある上記『ヘルシンキ宣言』及び『OSCE』で、こうした愉快なことになっているのは正直色々と考えさせられてしまうお話だよなぁと。これでG8からロシアさんちが居なくなったらもう確定的であります。これならまだ両者が協力どころか論争ばかりしていた以前の状態の方がまだマシだったんじゃないか感。
最早どちらもその国際機関を自身のポジションの正当化にしか使っていない、という現実。
1991年のG7+1に始まり、1997年からのG8としての歴史が終わるかもしれない。ところがこの構図――G8がG7に逆戻りする――においてさえも、結局その後退によってダメージを受けるのは私たちG7側に残された方にも大きなダメージあるわけで。つまり、中国を筆頭とする新興国の台頭によりただでさえ政治的経済的影響力が薄れている現状では、ロシアを追い出しG7にした所で、ロシアは堂々と「これからG20の時代だ!」と言うだけでしょう。


まぁこうした流れはそれこそプーチンさんの初登場以来あったりもしたわけで。ロシア=プーチンはほんとうに西側価値観を受け入れるのか? という疑問。ただその流れが復活しただけ、と言うこともできるんですよね。皮肉なことに、あの『9・11』以来の対テロ戦争がこうした構図がやってくるのを先延ばしにしていたのも事実なのでしょう。
その意味で、今回のウクライナでロシアが「急激に」旋回したわけでは決してないんですよね。むしろチェチェンウクライナなど旧東欧諸国への制裁を見る限り、そうした傾向はずっとあった。そこへ(欧米側が仕組んだことだと確信しているプーチンさんは)ウクライナの危機が引き金となった。


対テロ戦争でどうにか延長されていたポスト冷戦構造は、かくして終わろうとしている(かもしれない)現在。短い平和だったのか、幸運な時代だったのか。
もはや冷戦後ではない。なんて。