「検閲してるから安全ですよ!」という彼らの安心宣言

私たちは確かに検閲をやっている――しかしそれ故に中国市場で生き残っているのだ。


「中国リスク」説明に56ページ、微博の米IPO申請書 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
なんというか、あまりにも率直すぎて苦笑い。

 同社はまた、禁止対象となるコンテンツには、国家の「威厳を脅かす」もの、「社会の秩序や安定を乱す」ものや、反動主義・わいせつ・迷信・詐欺・中傷などに相当するあらゆる内容が含まれると説明。138ページでは、同社が法に従い投稿内容を検閲していると認め、「自社のプラットフォームに表示される内容を監視する内部手続きを導入しており、投稿の選別・監視を行い、不適切または違法な内容を削除する専門チームも設置している」とした。さらに、投稿者全員の身元確認が要求されており、暗号化ソフトウエアを中国当局に登録しなければならない可能性もあるとしている。

「中国リスク」説明に56ページ、微博の米IPO申請書 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

まぁ中国さんちのやり方そのものではありますよね。しばしばディストピア的なお話において用いられる言論統制にあるように、単純に政府の強権によるものではなく、むしろこうした出版社やメディアなどの自発的な『自己検閲』という形を採ることになる。まぁ日本でも偶にいわれるお話ではありますが、中国さんちのそれはどう見ても次元が違うレベルであります。
そもそも彼らはそうしなければ生き残れない。こうした構図の下で、政府は何か問題があった時には「あくまで企業が勝手にやっていることだ」なんて放言する。
つまり、むしろこうした宣言こそが中国市場でやっていくことの最低保障ともなっているんですよね。こうしたことを守っている故に、私たちは中国政府から理不尽な扱いは受けないから安心していい、と逆説的に主張できることにもなる。どう見ても開き直りだけれども、しかしそれ故に正しいお話。確かに彼らは『自己検閲』をやっていると正々堂々と宣言しているが故に、中国市場でやっていく上で「政府からの」あからさまな政治的リスクを受けないという、投資家への安心宣言でもある。


トルコ政府がツイッター遮断、首相は「一掃」宣言 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
トルコのエルドアンさんも「ツイッターを遮断したい」なんて言い出したそうですけども、もし本当にやる気なのであれば、見習うべきはこうした中国さんちのやり方なのでしょうね。政府がいちいち国民に直接に手を下すのではなくて、それより前の段階で企業に直接に圧力を掛ける方がずっと効率的であります。



ともあれ、投資家たちはそんな振る舞いを気にするのかというと……

 しかしアナリストらは、微博の株式公開が成功するかどうかは、インターネット利用者が6億人以上に上る国でテクノロジー株に賭けてみたいと買い手が思うかにどうかにかかっていると話し、検閲が投資家にとって問題とならない可能性を示唆している。

「中国リスク」説明に56ページ、微博の米IPO申請書 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

それこそあの悪名高き『金盾』だって、そもそも生み出したのは欧米企業の手によるものだったわけで。上記のような安心宣言がなされている以上、やっぱりこうした投資は善悪の彼岸を越えた先にあるのだろうなぁと。