G7の光をあまねく世界に!

むりだったよ。


コラム:ロシア孤立化とG7の限界| Reuters
イアンブレマー先生のありがたいお言葉。オバマさんの探し物『出口戦略』について。

このような状況下において、西側が国際的な枠組みの中で自分たちの価値観に固執すれば、ほとんど成果は見られないだろう。あるいは限られた同志たちの間で価値観を固持することはできるだろうが、国際的な影響をもたらすことは難しいだろう。

ただ、それらのどちらかを選ぶなら、後者の方がまだ良いといえる。我々はいかにして利益や理念が一致する国々と連携を築いていくかという点と、世界的規模の衝撃にどのように備えるのかという点で、この教訓から学ばなくてはならない。

コラム:ロシア孤立化とG7の限界| Reuters

結局問われているのはクリミアのようなミクロな面でも、あるいは21世紀の国際秩序という意味でも、やっぱり『出口戦略』であるんですよね。
クリミアにおいては事実上現状が固定化されつつあるそれを、一体どこに落としどころにもっていくのか。まさか今更それをウクライナに「返還」されるなんてことあるわけないし。まさに昔から言われているように「会議の結果は現状が決める」のだから。
CNN.co.jp : 米ロ首脳が電話会談 外交手段によるウクライナ問題解決を模索
その意味では、ウクライナ国境からのロシア軍の撤退という所で手を打つことになるのかなぁと。ただまぁぶっちゃけこれってほぼロシアさんちの思惑そのままな結論ではあるんですけど。(おそらく本心としてはやる気はなかった)ウクライナ東部まで介入するのではないか、という恐怖を利用しての手打ち。


そしてもう一つ直面することになった出口戦略というのが、G7の夢の終わりでもあるんですよね。
サンクトペテルブルクから8年 - maukitiの日記
先日の日記でも少し書いたように、それはまぁどうにかしてロシアを巻き込むことで新興国の台頭による相対的な地位低下を防ごうとした、旧G7たちのイチかバチかの賭けでもあったわけです。G7という『世界政府』をまだ終わらせないための希望がロシアの参加だったのです。
――まぁあれから20年近くたって結果はご覧の有様だったわけですけど。
ぶっちゃけソ連の崩壊からここまで、ロシアの民主主義はほとんど進歩することはなかった。『アラブの春』なんかはああしてあっさり停滞が見えたことですぐに落胆することができたわけですけども、逆にロシアについてはこうしていつまでもダラダラと希望を抱き続け、その結末が今回の事態だっていうオチ。
まぁもちろん結果論で判断するのはフェアではありませんけど、しかし結果としてロシア参加という決断は当時からあった反対論そのものの結末となった。


で、再び「ならば今後(益々存在感の薄れていく)G7は一体どうするのか?」という、あの時の問題が再び蘇るわけです。確かにロシア参加の試みは失敗したものの、結局その根本的構図は何も変わっていない。むしろ時間経過によって悪化しているとさえ言える。だからといって(ロシアよりも更に異質な存在である)中国などを参加させるなんてことは更にありえないでしょう。いや、やっちゃうかもしれませんけど……。
政治経済の問題から環境問題や資源保護まで、これまでの日記でも書いてきたように僕が「国際協力」にこれから益々期待が持てない理由ってやっぱりこういう所に行き着いてしまうからなんですよね。おそらく、今後はより対等なパワーを持つ者同士が競合する世界へと進んでいくにあたって、それこそ冷戦やアメリカ一極時代に合ったような単純で素朴な世界観はしばらくやってこないんじゃないかと。
その為にこそ、21世紀外交という『出口戦略』が必要なわけですけども、まぁアメリカさんちの愉快な振る舞い――根本的な制度構築をするのではなく既存のそれを使ってとりあえず口先だけで介入するだけ――を見るとどう見ても無理そうっていう。