権力者の孤独と孤立

光と影。


上司が無茶な仕事の予定を組むのは「時間の認識がゆがんでいる」から - GIGAZINE
へー、まぁ特にブラック企業なんかに限らず、一般的なヒエラルキー階層を持つ組織に属する多くの人が大なり小なり体験したことのあるお話ではないでしょうか。
権力は絶対に腐敗する、というのはよく言われるお話でもありまして。権力がもたらす万能感、そしてその万能感は麻薬でもある。それは「認識の歪み」の積み重ねとなりフォロワーとの間にやがて大きなズレを生んでいく、ということなのでしょう。難しいのは、だからといって必ずしも部下の気持ちだけを第一に汲み取っていけば上司として正解なのかというと、必ずしもそうでもない点にあるわけで。そもそも認識が完全に部下の目線と一緒じゃ、全体の責任者としてはそれはそれで困ってしまいますよね。
――いつだってそのバランスが難しいのだ、で終わってしまうお話ではあります。

カリフォルニア大学バークレー校の最新の研究では、「地位」がどれくらい人間の時間に対する認識をゆがめているのかを調査しているそうで、多くの協力者のおかげで導き出された調査結果によると、「権力を持つ人ほど、一生のうちに利用できる時間はたくさんあると感じている」ことが判明しました。

上司が無茶な仕事の予定を組むのは「時間の認識がゆがんでいる」から - GIGAZINE

ともあれ、でもまぁこれってよくある『鶏と卵』なお話でもあるんじゃないかとも思うんですよね。
つまり、一般に上司=権力者というのは自身の抱える問題について「出来るだけ早く」処理・解決したいと思っているわけで。それは単に独善的な動機からでもなく、自身がよき『上司』であろうとすればするほど生まれる衝動でもあります。即断即決で問題解決に導く良きリーダー。それはまぁ多分に本人の自己満足でしかないことも多々あるわけですが、しかし、そのことが(より上位の上司や部下から)評価されることもあることは事実でしょう。
フィクションでもそういうのってカッコイイしね。
こうした彼らの動機――あるいはインセンティブを考えると、ごく当然の論理的帰結として「部下には時間がいっぱいあるから大丈夫だろう」と楽観的に考えるのは当然じゃないのかと。
ここで問題なのは、果たして「元々」部下に時間が余っているだろうと考えているからそうした決断に至るのか、あるいは「問題の短期解決への意欲が強すぎる故に」リンク先で言及されているように時間の認識が歪むようになっていくのか、どちらなのかよく解らないよなぁと。また別の視点として、そうしたふざけた認識のズレがあるからこそ権力者の決断を助けているという面もあるのだろうし。


――動機が先か、手段が先か。
――(時間感覚をはじめとする)認識のズレがあることは上司など権力者にとってデメリットなのか、あるいはメリットなのか。


まぁ大多数の私たちにとってはどちらも結果は同じだろうと言うと身も蓋もありませんけど。