ああこれもレッドライン詐欺のツケか

『仲介役』に必要な覚悟。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41350
えーまぁなんだかんだでケリーさんが頑張っているのは事実なのでしょうけども、ただまぁその努力が実るのかと言うとやっぱりそんなことないわけで。過去多くの歴代政権がその最後を飾る『成果』にしようと政治的資源を投入しては飲み込まれてきた底無し沼な中東和平。その意味では、現状は別に彼らの能力不足と言うよりは、単純にオバマさんもその列に並びつつあるだけ、と言うことは出来るかもしれない。
ガザ「停戦終了」、発効からわずか数時間 南部で27人死亡 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
CNN.co.jp : ガザ、72時間の人道的停戦は2時間で崩壊 - (1/2)
しかしまぁやっぱり『覚悟』の薄いオバマさんでは案の定成果を出すことは難しかったわけですけど。

 恐らく、ガザ地区が落ち着いたら、ワシントンはその後の状況をなすがままにすることだろう。これはイラク、イラン、シリアに次ぐ、オバマ氏の4番目の中東危機と言ってよい。なぜそこで資本をさらに浪費するのだろうか。その答えは中東のみならず、米国内にある。

 本当に公正な仲介者の役目を引き受ける覚悟をオバマ氏が持たない限り、中東の和平交渉が失敗に終わる可能性は常に高い。

 米国の一部のユダヤ人と少数の勇気あるイスラエル国民が論じているように、もしイスラエルが穏健派のパレスチナ人を弱体化させることで自らの墓穴を掘っているとするなら、米国の情け深い友人がもっとたくさん立ち上がり、遠慮なく意見を表明すべきだろう。AIPACだけがメガホンを持って声高に主張すべき理由はない。

 Jストリートの有力支持者ピーター・ベイナート氏は、ある民主党幹部がまさにこの点をオバマ氏に指摘した時のことを次のように伝えている。「『よく聞こえない』。オバマ氏はそう言った。そこで私の友人は同じ話を繰り返し始めたが、大統領はその話をさえぎり、『分からないかな』と言った。『聞・こ・え・な・い・ん・だ・よ』」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41350

しばしば私たち日本なんかが――平和を愛すると口では言いながらも――そんな『仲介役』を果たせないのと、オバマさんのこうしたやる気のなさというのは結局のところまったく同じ構図であるわけで。
つまり、そのポジションに必要なのは単に公正な立場というだけでなく、紛争当事者たちに言うことを聞かせるだけの「圧力」こそが重要なんですよ。その停戦の提案だけならぶっちゃけ誰だって出来る。ところがその提案を相手に押し付け――場合によってはハードパワーを使ってでも無理やりにでも言うことを聞かせるだけの強制力がなければ、何処まで行ってもその公正さは絵空事でしかない。少なくとも現代日本にそんなモノあるわけない*1
今回のガザ停戦の失敗はその典型例ですよね。実際の所どうなのかはともかくとして、アメリカのそうした仲介役としての「影響力の無さ」が見事に露呈した。ハマスには停戦を押し付けることができず、同時にイスラエルにもその反撃をガマンさせるだけの影響力を行使することができなかった。
――オバマさんは『仲介役』として、そうした事を押し付けることができなかった。あるいはその気さえなかった。


あのシリアの化学兵器疑惑でやったオバマさんのレッドライン詐欺というのは、こういう所で間接的に悪影響を及ぼしているわけですよね。本心ではやる気がなかろうが、口先の脅しと言うのはこうした時にそれなりに役に立つはずだったのです。「もしお前らが停戦協定を破れば解っているだろうな?」なんて。
――ところがオバマさんは、まさにあの時以来、ほんとうに口だけだと言うことを見透かされてしまっている。そりゃケリーさんがどれだけ頑張ろうが上手く行くはずありませんよね。
上記FTさんが仰るような「公正な仲介役を務めろ」と言うことには、ほとんどそのまま圧力を用いろ、と同義でもある。ところがオバマさんはまったくやる気がなく――それだけならまだマシで、むしろ最悪なのは、やる気がないことが「バレて」しまっている。


対ロシアでは多少なりともあるものの、しかし中東においては完全にないことがバレているオバマさん。
いやぁあのレッドライン詐欺のツケは重いですよね。

*1:この辺は実はカンボジアとかではあったりもしたんですけども、まぁやっぱりアメリカの横槍があったりした。