平和の偶像として「あがり」を迎えたマララさん

先輩であるオバマさんや欧州連合のようにならないといいね。


14年ノーベル平和賞はマララさんら2人、知らせは学校で 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
ということで本邦でも何故か憲法九条関連で盛り上がってたノーベル平和賞ではありますが、マララさんが受賞したそうで。おめでとうおめでとう。
――ていうかそもそも何で今年に限っていきなり『九条』受賞で大盛り上がりなのかよく解らないんですけども大きなニュースありましたっけ? と考えるとおそらく安倍政権の改憲ネタがあったりするんでしょうか。もしそうであるとすれば、まぁそんな既存の憲法を死守したい気持ちは理解できますけども、一方でその擁護の正当化の材料にするためだけに『ノーベル平和賞』という海外権威を求めるというのもひたすら失礼な話で苦笑いするしかないお話ではあるかと思います。いや、もちろん憲法九条がノーベル平和賞の理念――国家間友好や軍事縮小や社会正義――に現実の動きとして適っていれば反対する理由もないんですけども、ぶっちゃけ憲法九条って「日本国内の」平和や軍備縮小には役に立ってきた面はあるとしても、別に世界全体やあるいは周辺地域=東アジアの「平和」や「友好」や「軍縮」に役に立っているわけではありませんよね。ていうか現実は全く真逆のベクトルに進んですらいる状況で、むしろ逆の効用があると訴える人すらいる。そして、これから先に役に立つ見込みがあるのかというと、やっぱりそれもありそうにはないし。
「日本の」平和を守る為に憲法九条にノーベル平和賞を! なんて。
まぁなんというかひたすら確信犯しているのか自大主義なのか自己中心的なのかは解りませんが、思わずくすっとしてしまう光景ではありますよね。国際社会がイスラム国に対して事実上の『正戦』を仕掛けている今の時期にそうした事を訴えるのは、いつものくうきよめないがらぱごすなにほんらしくてへいわはとってもすてきだなって。



ともあれ、ノーベル平和賞受賞ということでついに平和の象徴・偶像・アイドルとしての「あがり」の所まで行っちゃったなぁと。
アイドルは破壊されるべきである - maukitiの日記
でもアメリカのアフガニスタン及びパキスタンでの対タリバン戦争を手助けしようとする国はどこにもなかった - maukitiの日記
まぁこれまでの日記でも何度か書いてきた彼女のお話ではありますが、そんな偶像としての価値が高まった彼女は一層「暗殺する」価値が高まったと言えて益々普通の生活――ひいては故郷に帰るなんて難しくなっちゃったよなぁと。もちろん彼女自身が――その若さ故の情熱と正義感でもって――望んでいることではあるんでしょう。
しかし、それでも、尚も17歳でしかない彼女を利用する私たち大人の情けなさを更に感じてしまうお話だと思います。上記日記の時でさえ指摘されていたように、おそらく昨今のイスラム国や印パ緊張関係といった政治的な要請が受賞要因にあったのは間違いないでしょう。かくしてそんな少女を『英雄』に祭り上げるしかない現代世界。少なくとも手放しで喜べるお話ではないよね。だってそれは結局の所、大人たちの不作為の帰結でしかないのだから。大人の無力さの象徴としても輝くマララさん。


逆説的にこうして「あがり」を迎えたことで、後はもう萎む一方なのでやがて日常に帰れる目途が立ったと言うことはできるかもしれませんけど。それでもまぁやっぱり彼女が出てくると大人の無力さについて、色々と考えさせられてしまうお話ではあるんじゃないかと思います。


みなさんはいかがお考えでしょうか?