何故にと問う。故にと答える。

だが、人が言葉を得てより以来、問いに見合う答えなどないのだ。問いが剣か、答えが盾か。果てしない睨み合いに散る火花。その瞬間に刻まれる影にこそ、真実が潜む。次回「デモ継続」飢えたる者は常に問い、答えの中にはいつも罠。

というボトムズ感な香港デモであります。
民主主義許せば低所得層が選挙支配、香港長官が発言 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
香港行政長官「選挙を民主化すれば貧困層に決定権」 - WSJ
まぁ心底『本音』ではあるのだろうなぁと。ある意味で誠実とさえ言えるかもしれない。まさに香港の学生たちが何故「選挙制度を後退させるのか?」と問い、そして彼は「民主主義許せば低所得層が選挙支配する」故にと答えた。確かにデモ参加者たちの希望に応えた結果ではありますよね。


ただぶっちゃけ別に応える必要なんて無かったのにね。民主主義政治における重要な機能の一つである『説明責任』『説明義務』なんてものは、それを否定する彼らがやる必要などないのだから。権力者はそうした世論の批判に答える義務を負うことで、不満を解消させる機会を得る一方で、説明に失敗し更なる不信を持たせてしまうことで政権交代への勢いを増してしまうこともある。
故に私たち有権者が持つ『説明責任』という問いは、民主主義において最も強力な権力者への抑止力であるのです。
ところが外国メディア相手だからと油断したのか、あるいは一瞬でニュースの広まるネット社会を解っていないのか、皮肉なことに香港長官の彼は問いに答えることで正しくそんな「民主主義政治」の土俵に乗ってしまっている。挙句その『説明』にも失敗した。


その発言の中身どうこうというよりも、あの学生側と行政側が並ぶシュールな写真が公開された両者会談と併せてこの応答のプロセスこそが意図しないまま民主化への一里塚となっているよねぇと。
「権力者が自国民を弾圧するのを躊躇うはずがない」という確信 - maukitiの日記
昨日の日記でも書きましたけど、中国さんちはもしこれが前例となってしまったら、次に同じことを要求された時どうするつもりなんでしょうね?